更新日: 2021.07.28 控除

財形貯蓄にはどんな税金がかかるの? 非課税の条件は?

財形貯蓄にはどんな税金がかかるの? 非課税の条件は?
財形貯蓄は、給与天引きでコツコツと先取り貯金ができるので、入社と同時に始めたという方もいらっしゃるでしょう。確実にお金が貯まっていきうれしい反面、「税金はどうなっているのだろう?」と疑問に思うこともありませんか?
 
今回は、財形貯蓄の基本と種類、そして非課税制度について解説します。
福島佳奈美

執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)

【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。

財形貯蓄制度とは? 基本を確認

財形貯蓄制度は、正式には「勤労者財産形成促進制度」といい、勤労者財産形成促進法に基づいて、労働者や公務員の財産づくりを国と事業主が支援する制度です。財形貯蓄は給料から天引きで積み立てができるほか、利子等非課税の優遇措置が受けられる場合があるなどのメリットがあります。
 
財形貯蓄には「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3種類があります。それぞれの内容と非課税の範囲を確認していきましょう。
 

一般財形貯蓄の内容と税金は?

一般財形貯蓄とは、原則3年以上の期間、定期的に積み立てするものです。積み立てたお金は何に使ってもよいことになっており、貯蓄開始から1年以上経過すれば自由に引き出すことができます。利子等非課税の優遇措置はありません。利子に対し原則として一律20.315%(国税15%、地方税5%、復興特別所得税0.315%)の源泉分離課税が適用されます。
 
基本的には、積立限度額もなく自由度が高いのがメリットですが、非課税の適用がないのがデメリットといえるでしょう。
 

財形住宅貯蓄の内容と非課税の範囲は?

財形住宅貯蓄とは、住宅の建設、購入、リフォームなど、住宅に関係する資金づくりを目的とした積立制度です。5年以上の積立期間が必要で、契約開始時に55歳未満であることも条件になります。後述の「財形年金貯蓄」と合わせて550万円まで、利子等非課税の優遇措置を受けることができます。
 
住宅は、新築でも中古でも対象ですが、床面積が50平方メートル以上、リフォームだと工事費が75万円を超えることなどの要件を満たす必要があります。
 

財形年金貯蓄の内容と非課税の範囲は?

財形年金貯蓄とは、老後の資金づくりを目的とした積立制度です。5年以上の積立期間が必要で、契約開始時に55歳未満であることも条件になります。前述の「財形住宅貯蓄」と合わせて550万円まで利子等非課税の優遇措置を受けることができます。
 
基本的には満60歳になるまで引き出すことができず、60歳以降に受け取る場合も5年以上20年以内の期間で受け取ることになります。保険商品では、終身受け取りができる商品もあります。
 

非課税の内容は?

財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は合わせて550万円まで利子等非課税の優遇措置を受けることができます。商品内容による非課税の限度額は、下記のとおりです。
 

■預貯金や有価証券などの場合……元本と利息の合計で判断。合計額が550万円まで非課税。
■生命保険や損害保険などの場合……払込保険料累計額で判断。財形住宅貯蓄と合わせて550万円まで非課税。ただし、財形年金貯蓄のみなら385万円まで非課税(残り165万円は財形住宅貯蓄の非課税枠として利用可能)。

 
財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄を、目的外で利用するため引き出す場合には、5年間さかのぼって課税されますので注意しましょう。
 
ただし、災害で被害を受けた場合や医療費が年間200万円超かかった場合など、やむを得ない事情で払い出す場合、税務署の確認を受け非課税の適用を受けることができる場合もあります。
 
財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄には限度額があり、限度額を超えた部分には課税されてしまいます。非課税枠を有効に使うなら、まずは財形住宅貯蓄で資金を貯めてマイホームを取得し、財形住宅貯蓄は解約。老後資金を貯めるために財形年金貯蓄を始める、といった使い方をするのも1つの方法です。
 
財形貯蓄は、企業が福利厚生の一環として設けているものです。税金のメリットだけでなく、財形積立奨励金などの補助を設けている企業もみられます。勤務先に制度があるなら、うまく活用してはいかがでしょうか。
 
出典
国税庁「No.1316 財形住宅貯蓄」
国税庁「No.1319 財形年金貯蓄」
国税庁「災害により被害を受けられた方へお知らせ(勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄関係)
独立行政法人 勤労者退職金共済機構 勤労者財産形成事業本部「一般財形貯蓄」
独立行政法人 勤労者退職金共済機構 勤労者財産形成事業本部「財形住宅貯蓄」
独立行政法人 勤労者退職金共済機構 勤労者財産形成事業本部「財形年金貯蓄」
 
執筆者:福島佳奈美
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー

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