更新日: 2021.07.30 控除
家をバリアフリーにしたら控除が受けられるって本当?
そんなときに心強いのが税の優遇制度です。バリアフリー改修工事を行った際に所定の要件を満たせば、税の優遇措置を受けられます。詳しく見ていきましょう。
執筆者:宮野真弓(みやのまゆみ)
FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
子育てファミリーや妊活カップルのライフプランニングを中心に活動しています。
結婚や妊活、出産、住宅購入など人生のターニングポイントにおけるお悩みに対して、お金の専門家としての知識だけでなく、不妊治療、育児、転職、起業など、自身のさまざまな経験を活かし、アドバイスさせていただきます。
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バリアフリー改修に対する所得税の減税
バリアフリー改修工事をしたときに受けられる得税の控除には下記の3種類があり、いずれか1つを選んで申請します。
(国土交通省「バリアフリーリフォーム減税」(※1)などを参考に筆者作成)
<投資型減税>
投資型減税は、バリアフリー改修をした場合にローンの有無を問わずに利用できる制度です。バリアフリー改修の標準的な工事費用相当額の10%(上限20万円)がその年の所得税から控除されます。
実際に工事にかかった金額ではなく、国土交通省が定める「標準的な工事費用相当額」(※2)を基に計算される点には注意が必要です。
<ローン型減税>
ローン型減税は、5年以上のローンを組んでバリアフリー改修をした場合に利用できる制度です。
年末時点のローン残高のうち、対象となるバリアフリー改修工事費用(上限250万円)の2%と、残りのリフォーム費用(上限1000万円)の1%が5年間所得税から控除されます。年間控除額の上限は12.5万円ですので、5年間で最大62.5万円の控除が受けられます。
投資型減税、ローン型減税の対象となるのは、次のいずれかの人です。
(1)50歳以上の人
(2)要介護認定または要支援認定を受けている人
(3)障害がある人
(4)65歳以上または(2)(3)に該当する親族と同居する人
この他、国や自治体からの助成金を差し引いた後の工事費用相当額が50万円以上であることや、工事の内容、住宅の面積などの要件もありますので、事前によく確認しておきましょう。
<住宅ローン減税>
住宅ローン減税は、10年以上のローンを組んでバリアフリー改修をした場合に利用できる制度です。年末時点のローン残高の1%(上限40万円)が10年間控除されます。
対象となる工事の費用が100万円超であるなどの要件がありますが、投資型減税、ローン型減税のような年齢等の要件はありません。
いずれの制度を利用する場合にも、必要書類をそろえて税務署へ確定申告する必要があります。
バリアフリー改修に対する固定資産税の減税
要件を満たすバリアフリー改修工事を行った場合、固定資産税の減額も受けられる場合があります。
バリアフリー改修工事の費用が50万円を超える場合、翌年の固定資産税(床面積100平方メートル相当まで)が3分の1減額されます。先ほど説明した所得税の減税と併用することも可能です。
65歳以上の人、要介護認定または要支援認定を受けている人、障害がある人のいずれかが居住していることが要件です。その他、築年数や床面積などの要件もありますので、事前に確認しておきましょう。
固定資産税の減税については税務署ではなく、市区町村の地方税の担当課に申告する必要があります。工事完了後3ヶ月以内に手続きする必要がありますので注意してください。
老後も安全快適に自宅で過ごすにはバリアフリー改修工事が有効です。
(※1)国土交通省「バリアフリーリフォーム減税」
(※2/その他の文章の参考)国土交通省「バリアフリー改修に関する特例措置」
(参考・引用)
国税庁「No.1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」
国税庁「No.1218 借入金を利用してバリアフリー改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)」
国土交通省 すまい給付金「住宅ローン減税制度の概要」
執筆者:宮野真弓
FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者