更新日: 2021.08.19 その他税金

年収900万円と世帯年収900万円。税負担には一体どれだけの違いがある?

年収900万円と世帯年収900万円。税負担には一体どれだけの違いがある?
年収900万円と、夫婦共働きでの世帯年収900万円。世帯全体の収入は同じ900万円であっても、税負担が異なることをご存じですか?
 
夫婦の働き方が変われば、税の負担額も変化します。年収900万円と世帯年収900万円、両者の税負担について比較してみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年収900万円の税負担はどれくらい?

リクナビNEXTによれば、年収920万円(賞与なし、1ヶ月の給与の総支給額75万3334円)の方の主な租税公課の負担は1ヶ月当たりで以下の表のようになっています。
 

健康保険料 4万718円
厚生年金保険料 5万6730円
雇用保険 3013円
所得税 5万3710円
住民税 3万9100円
合計 19万3271円

※リクナビNEXT 「年収900万円正社員の月収や手取り、貯金額は?」を基に筆者作成
 
1ヶ月で約19万3000円、年間に換算すると約232万円の税を負担していることが分かります。
 

世帯年収900万円の税負担はどれくらい?

続いて世帯年収が900万円の場合、税負担はどれくらいになるのでしょうか。
 
年収492万円の夫(賞与なし、1ヶ月の給与の総支給額41万円)、年収390万円の妻(賞与1万6200円、1ヶ月の給与の総支給額32万3618円)の共働き夫婦で構成される世帯年収約900万円の世帯では、1ヶ月当たりの租税公課の負担は以下表のようになっています。
 

健康保険料 2万848円 1万8880円
厚生年金保険料 3万7515円 2万9280円
雇用保険 1263円 920円
所得税 8850円 6850円
住民税 1万5000円 1万3200円
合計 8万3476円 6万9130円

※リクナビNEXT 「年収400万円正社員の月収や手取り、貯金額は?」「年収300万円正社員の月収や手取り、貯金額は?」を基に筆者作成
 
世帯年収が約900万円の世帯は、夫婦で1ヶ月約15万2000円、年間では約180万円の税負担となります。
 

同じ年収帯で税負担に差が出たのはなぜ?

紹介したモデルケースでは、単身で年収920万円を稼ぐと税金が年間で約232万円発生し、世帯年収で年収882万円の場合は年間の税金が約180万円となることが分かりました。
 
両者の年収には40万円ほどの差はありますが、年収帯としては900万円前後です。にもかかわらず、税金の額が50万円以上も異なるのはなぜでしょうか。理由の1つに控除があります。
 
本人の所得に応じて最大48万円の控除が受けられる基礎控除や、給与収入に応じて受けられる給与所得控除など、税金を計算するに当たっては数々の控除が適用されます。単身で稼ぐとその控除が1人分しか受けられませんが、夫婦共働きの場合は同じ収入でも2人分の控除の恩恵を受けられることになります。
 
そのため、同じ程度の年収だとしても1人で年収900万円を稼ぐより、夫婦で世帯年収900万円の方が税金の負担額が少なく、手取額の割合が大きくなるのです。
 

同じ収入レンジでも単身で稼ぐか、共働きかによって税金面が大きく異なる

日本の税制は基本的に所得が高ければ、それに比例して税金も高くなるような仕組みとなっています。また、税負担を減らす各種控除は、その給与所得者ごとに適用されるようにもなっています。
 
そのため、家計全体の収入は同じであっても単身で稼ぐより、夫婦共働きで所得を分散させた方が控除の恩恵をより受けられ、世帯全体の税負担を小さくすることができるのです。また、所得の分散はリスクの分散にもつながります。夫婦共働きなら、どちらか片方に万が一のことがあっても全ての収入が途絶えることにはなりません。
 
夫婦の働き方については税制面からも考えてみると、より負担が小さく、かつ、それぞれの家庭に見合った働き方を見つけられるかもしれません。
 
参考・出典
リクナビNEXT 年収900万円正社員の月収や手取り、貯金額は?
リクナビNEXT 年収400万円正社員の月収や手取り、貯金額は?
リクナビNEXT 年収300万円正社員の月収や手取り、貯金額は?
国税庁 No.2260 所得税の税率
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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