更新日: 2021.11.19 控除
10万円を超えなくても医療費控除が受けられるのはどんな場合?
ここでは、医療費控除の対象や計算方法、申請方法、10万円以下でも控除を受けられるケースについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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医療費控除とは
医療費控除とは、所得控除の一種です。自身や配偶者、親族の支払った年間の医療費が一定額を超える場合に所得控除を受けられ、税負担を軽減できます。
入院費や治療費、出産費用、不妊治療費など、さまざまな費用が医療費控除の対象となります。個人事業主、会社員どちらの場合も医療費控除を受けるには確定申告が必要です。
医療費控除の対象となるもの
医療費控除の対象となる医療費の要件は、次のとおりです。
●納税者自身、または生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費であること
●その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること
具体的には、次のような費用が医療費控除の対象となります。
●病院の診療費や治療費
●病院の入院費
●松葉づえなどの医療器具代(医師の治療を受けるために必要なもの)
●食事療養費
●不妊治療費
●出産費用
●歯の治療費(一般的に支出される水準を著しく超える特殊なものは対象外)
●子どもの歯列矯正費用
●治療のために行うリハビリ費用やマッサージ費用
●通院にかかるバス代や電車代
上記のとおり、さまざまな費用が医療費控除の対象となります。ただし、人間ドックや健康増進費用、疾病予防費、病院への謝礼金、美容整形の治療費用などは医療費控除の対象外です。
どのような費用が医療費控除の対象となるか確認しておけば、確定申告もスムーズに進められるでしょう。
医療費控除の対象となる金額
医療費控除の金額は、次の計算で求められます。
・「実際に支払った医療費の合計額」-「保険金などで補てんされる金額」-10万円=医療費控除額(最高200万円)
「保険金などで補てんされる金額」とは、健康保険などで支給される出産育児一時金や高額療養費、生命保険などで支給される入院費給付金などです。
ただし、総所得が200万円未満の方は、以下のとおり、マイナス10万円ではなく総所得の5%の金額を差し引きます。
・「実際に支払った医療費の合計額」-「保険金などで補てんされる金額」-「総所得の5%」
例えば、入院・手術費用に80万円かかり、保険金が50万円支給された場合の医療費控除額は次のとおりです。
80万円-50万円-10万円=医療費控除額20万円
80万円-50万円-5万円=医療費控除額25万円
10万円以下でも医療費控除が受けられるケース
医療費控除は、総所得が200万円以上だと「支払った医療費の合計額-補てんされる金額-10万円」で計算するため、医療費が10万円以下だと控除を受けることはできません。
しかし、総所得が200万円未満だと「支払った医療費の合計額-補てんされる金額−総所得の5%」となるため、医療費が10万円以下でも控除を受けられる可能性があります。
例えば、総所得100万円、入院・治療費用10万円、保険による補てん費用3万円の場合「10万円-3万円-5万円=2万円」となり、2万円の医療費控除を受けることが可能です。
医療費控除の申請方法
医療費控除を受けるには、確定申告が必要になります。年末調整では医療費控除の対応をしてもらえないため、会社員であっても確定申告が必要です。医療費の領収書をもとに医療費控除の明細書を作成し、確定申告書に添付します。
確定申告の時期は例年2月16日~3月15日です。期間内に申告が終わるように、早いうちから準備をしておきましょう。
医療費が10万円を超えていなくても医療費控除を受けられる場合もある
医療費控除は、年間で支払った医療費が10万円を超えていなくても適用される可能性があります。総所得が200万円未満もしくは200万円以上で計算式が変わるためです。そのため、年間の医療費が10万円以下であっても、確定申告をすることで所得控除の適用を受けることが可能です。
医療費の領収書をもとに一度医療費控除の計算をしてみるとよいでしょう。控除を受けられる場合は、早めに確定申告の準備を始めてください。
出典
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員