更新日: 2021.12.09 その他税金

【おさらい】株式配当金などで源泉徴収される税率「20.315%」。コンマ以下の端数って何だったっけ?

執筆者 : 上野慎一

【おさらい】株式配当金などで源泉徴収される税率「20.315%」。コンマ以下の端数って何だったっけ?
株式配当金をもらうとき、「配当金計算書」という書類が届きます。
 
源泉徴収される場合、所得税率の欄には「15.315%」、住民税率は「5%」と記載されています。(ただし、配当金の受取方式が「株式数比例配分方式」の場合、税率等の数字記載はありません)
 
株式配当金などの配当所得に対する税率は、20%(所得税15%、住民税5%)のはずです。所得税率のコンマ以下の端数「0.315%」のことをおさらいしておきましょう。
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

「0.315%」という端数の意味

この端数部分は「復興特別所得税」です。国税庁のサイト(※1)からは、次のような概要が確認できます。

<目的>

東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保
 

<納税義務者>

個人については、所得税を納める義務のある者
 

<課税対象>(非永住者以外の居住者)

全ての所得に対する所得税額を基準所得税額とする
 

<税率>

基準所得税額×2.1%
 

<課税期間>

2013年1月1日から2037年12月31日まで

例示した株式の配当所得だけではなく、株式の売却益などの譲渡所得、給与所得、公的年金等ほかの雑所得など、すべての所得が対象です。
 
課税期間も25年という長丁場で、あとまだ16年も続きます。東日本大震災のダメージの大きさや、復興への道のりの長さを改めて実感させられます。
 
先述の所得税率のコンマ以下の端数部分「0.315%」は、配当所得に対する所得税に復興特別所得税率2.1%が上乗せされるので、[15%×2.1%=0.315%]と算出されたものなのです。
 
なお、住民税でも均等割額(所得の額にかかわらず定額でかかるもの)として、市町村民税と都道府県民税それぞれ500円が2014年度から10年間、復興特別税として課税されています。
 

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復興特別所得税や復興予算は巨額です

復興特別所得税は、2020年度の歳入(決算額)約4016億円、2021年度の予算額3920億円。とても大きな金額です。
 
2020年度の東日本大震災復興関連予算は、歳出予算現額約2兆5000億円、執行見込額が約2兆2860億円(うち支出済歳出額1兆8540億円あまり)と巨額です(※2)。
 
復興特別所得税だけで復興財源をまかなっているわけではありませんが、2020年度支出済歳出額に対して2割以上を占めるくらい、その存在感は大きいのです。
 
先般、筆者は所用で福島県の常磐線沿線エリアに出掛けました。いわき駅周辺からレンタカーを運転して国道6号線を北上したのですが、福島第一原子力発電所に近い「帰還困難区域」に近づくと、車窓から見える景色は一変していきました。
 
国道沿道の外食、コンビニ、カーディーラー、量販店などたくさんのロードサイド店舗建物が(おそらく震災当時から)荒廃するまま放置されているのが次々と確認できました。
 
また、国道から左右に伸びる道路の入り口ごとにバリケードが設置されて、警備員が進入を警戒する様子も多数見られたのです。
 
鉄道やクルマで「通過」はできるようになっている。しかし、そこに「長くとどまる」ことはできない。被災地の中でもいまだに厳しい状況に置かれたエリアのそんな現状が、生々しく伝わってきました。
 
先述のように、復興予算や復興特別所得税は巨額です。そして復興予算の使いみちについては、復興との関連性が薄いあるいは疑問符が付くといった指摘がされるのを、ときどき見聞きすることがあります。
 

まとめ

天引き(源泉徴収)されていると、実際にいくら支払っているのかの感覚がリアルに湧いてこない。こんなことがよく指摘されます。復興特別所得税も例外ではないかもしれません。
 
とはいえ、給与の「源泉徴収票」や証券会社や銀行の「特定口座年間取引報告書」(源泉徴収あり)があれば、年間で源泉徴収された所得税額が記載されています。
 
そこには2.1%の復興特別所得税を含むので、税額を1.021で割り算すればそれぞれの書面での復興特別所得税の負担額が簡便に分かります。
 
ある書面でもしも源泉徴収税額が50万円と記載されていたら、そこでの本来の所得税は48万9700円ほど。差し引きで復興特別所得税を1万300円くらい負担しています。そして、みんなの納税分を足し合わせると年間4000億円規模にも積み上がっていくのです。
 
来年・2022年3月には東日本大震災から丸11年を迎えます。復興のために自分がいくらくらい税負担をしているのか。また、復興特別所得税で屋台骨の一部を支えている復興予算が、どんなことに実際に使われているのか。
 
そんなことをたまにはチェックしてみる機会があってもいいでしょう。
 
[出典]
(※1)国税庁「個人の方に係る復興特別所得税のあらまし」
(※2)復興庁「令和2年度東日本大震災復興関連予算の執行状況について」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士