更新日: 2021.12.22 控除
自己資金で増改築した場合でも所得税の減税を受けられる場合って?
執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。
住宅特定改修特別税額控除・住宅耐震改修特別控除
自分が所有している居住用家屋の改修工事を行った場合に、一定の要件に当てはまれば改修費用の10%を所得税から控除できる減税制度です。
自己資金で増改築を行う場合など、住宅ローン利用をしなくても受けることができます。改修費用は50万円を超えるものに限られ、上限も設定されています。適用される改修工事の内容と税額控除を受けるための要件や手続きについて、以下に概要をまとめました。
適用される改修工事の内容
1.バリアフリー改修工事
(イ)廊下の拡幅 (ロ)階段の勾配を緩和 (ハ)浴室の改良 (ニ)トイレの改良 (ホ)手すりの設置 (へ)屋内の段差の解消 (ト)引き戸への取り替え工事 (チ)床表面の滑り止め化
2.省エネ改修工事
居室の窓、天井、壁、床に関わる一定の要件を満たした工事。それに伴い行われる太陽光発電装置の設置工事・太陽熱利用冷温熱装置等の設置工事
3.3世代同居改修工事
自己の居住の用に供する部分に調理室、浴室、トイレまたは玄関のうちいずれか2つ以上の室をそれぞれ複数にするために行う、調理室の増設、浴室の増設、トイレの増設、玄関の増設
4.耐久性向上改修工事
住宅耐震改修工事や一般省エネ改修工事と併せて行う、小屋裏、外壁、浴室、脱衣室、どだい、軸組等、床下、基礎・地盤の劣化対策工事、給排水管・給湯管の維持管理・更新を容易にするための工事
5.住宅耐震改修工事
一定の耐震基準に適合させるための工事
控除を受けるための要件
【共通の要件】
〈1〉自己の所有している家屋で、自己の居住の用に供するものの改修工事であること
〈2〉改修工事後6ヶ月以内に入居していること
〈3〉改修工事をした後の家屋の床面積(登記面積)が50平方メートル以上であること
〈4〉床面積の2分の1以上が、もっぱら自己の居住の用に供されるものであること
〈5〉控除を受ける年の所得金額が3000万円以下であること
〈6〉自己の居住の用に供される部分の工事費用の額が、改修工事の工事費用の総額の2分の1以上であること
【バリアフリー改修工事の場合は以下を追加】
(イ)50歳以上の方
(ロ)要介護または要支援の認定を受けている方
(ハ)障害者である方
(ニ)高齢者等(※1)である親族と同居を常況とする方
※1(ロ)もしくは(ハ)に当てはまる方、または65歳以上の方をいいます
(イ)バリアフリー改修工事について建築士等が発行する増改築等工事証明書により証明がされたものであること
(ロ)バリアフリー改修工事の標準的な費用が50万円を超えるものであること
【省エネ改修工事の場合は以下を追加】
(イ)省エネ改修工事について建築士等が発行する増改築等工事証明書により証明がされたものであること
(ロ)省エネ改修工事の標準的な費用が50万円を超えるものであること
【3世代同居改修工事の場合は以下を追加】
(イ)3世代同居改修工事について建築士等が発行する増改築等工事証明書により証明がされたものであること
(ロ)3世代同居改修工事の標準的な費用が50万円を超えるものであること
【耐久性向上改修工事の場合は以下を追加】
(イ)認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づくものであること
(ロ)改修部位の劣化対策ならびに維持管理および更新の容易性が、いずれも増改築による長期優良住宅の認定基準に新たに適合することとなること
(ハ)耐久性向上改修工事の標準的な費用が50万円を超えるものであること
【住宅耐震改修工事の場合は以下を追加】
昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
(イ)一定の耐震基準に適合させるための住宅耐震改修であることについて建築士等が発行する増改築等工事証明書、または地方公共団体の長が発行する住宅耐震改修証明書により証明がされたものであること
(ロ)耐震改修工事の標準的な費用が50万円を超えるものであること
手続き
住宅特定改修特別税額控除の適用を受けるためには、確定申告書に以下の書類を添付して、納住所地を所轄する税務署に提出します。
(1) 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
(2) 増改築等工事証明書
(3) 家屋の登記事項証明書など家屋の床面積が50平方メートル以上であることを明らかにする書類
注)一般省エネ改修工事を含む改修工事の費用に関し補助金等の交付を受ける場合には、補助金等の額を証する書類も添付します。
まとめ
住宅ローン控除との併用や過去に控除を受けた場合の利用制限もあります。詳細は国税庁のパンフレットやホームページなどで確認をお願いします。
出典
国税庁 パンフレット「マイホームを持ったとき(Ⅱ)」
国税庁「No.1200 税額控除」
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント