更新日: 2021.12.25 その他税金

令和3年度の住民税の改正の内容をおさらい。何が変わった?

令和3年度の住民税の改正の内容をおさらい。何が変わった?
2021年度(令和3年度)から個人住民税(市民税・都道府県民税等)にかかわる税制度が変更になりました。この税制は、2020年1月1日から2020年12月31日の間に得た収入から適用されています。
 
改正後の税制は、旧制度と比べてどのような違いがあるのでしょうか。以下で、この令和3年度住民税改正について、おさらいしていきましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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おさえておきたい主な改正点

重要な改正点を説明します。2021年度(令和3年度)で改正となったなかで、重要なポイントは以下の3つです。
 

・給与所得控除の改正

2021年度(令和3年度)の個人住民税の制度改正によって、個人住民税給与所得の控除額が一律10万円下がりました。さらに、旧制度では個人住民税給与所得が1000万円までは控除が受けられましたが、新制度では850万円までしか控除を受けられなくなりました。また、控除上限額が220万円から195万円に変更されています。
 

・公的年金等控除の改正

公的年金控除も、給与所得控除と同じく、10万円引き下げられました。公的年金控除は高所得の人に手厚い制度だという批判があったからです。また、公的年金等以外で1000万円超の所得がある場合も控除額が引き下げられています。1000万円超2000万円以下では20万円に、2000万円超では30万円に控除額が引き下げられました。
 

・基礎控除の見直し

所得が大きくなるほど税制が優位に働くとの批判をうけ、個人住民税の基礎控除額が改正されました。旧制度では所得金額を問わず、一律で33万円控除されていました。2021年度(令和3年度)からは3段階に分けて控除額が変わるようになっています。さらに基礎控除額が10万円引き上げられています。
 
これによって、合計所得金額が2400万円以下なら基礎控除額43万円、2400万円超から2450万円なら基礎控除額29万円、2450万円超から2500万円では基礎控除額15万円となりました。なお、2500万円を超える合計所得金額がある場合は、基礎控除額は0円です。
 

所得控除等の要件改正

2021年度(令和3年度)の税制改正ではさまざまな控除の所得要件が変更になっています。
 

・扶養控除等の所得金額要件

それぞれ10万円ずつ上がっています。同一生計配偶者および扶養親族の所得金額要件は、所得金額の合計が48万円以下です。配偶者特別控除に係る配偶者では、所得金額の合計が48万円超133万円以下、勤労学生控除は75万円以下になりました。
 

・非課税措置の変更

障害者・未成年者・ひとり親・寡婦(ひとり親を除く)に対する非課税措置も、同じく10万円引き上げられ、「135万円以下」が所得要件になっています。均等割住民税非課税は、合計所得金額(上限35万円)に「本人と扶養人数の総数」を乗じたものに31万円加えた額に、変更されています。
 
所得割住民税非課税は、総所得金額(上限35万円)に「本人と扶養人数の総数」を乗じたものに42万円加えた額に、所得要件が変更になりました。旧制度と比べて、それぞれ10万円引き上げられています。
 

新しい控除の創設

2021年度(令和3年度)の税制改正で創設された控除について、以下で説明します。
 

・所得金額調整控除の創設

2018年度(平成30年度)の税制改正で給与所得控除額が改正されたため、年収850万円超の人の負担が増えました。しかし、子育て世帯や特別障害者などには、税制改正による負担を緩和させるための制度が必要だと考えられ、所得金額調整控除が創設されました。
 
給与等収入額が850万円を超す人で「特別障害者に該当」「年齢23歳未満の扶養親族を有する」「特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する」の3つの要件のうちどれかを満たす方は、所得金額調整控除が受けられます。この場合の所得金額調整控除額は、「給与等の収入額」から850万円を引いた額の10%です。なお、給与等の収入額は1000万円を上限として計算します。
 
また、「給与所得控除後の給与等の金額」および「公的年金等に係る雑所得の金額」の合計が10万円を超える者は、その合計額から10万円を引いたものが、所得金額調整控除額になります。この場合の所得金額調整控除額の上限は10万円です。
 

・ひとり親控除の創設

婚姻歴やひとり親の性別による不公平を解消させ、公平な税制にすることを目的にして、ひとり親の家庭に対して税控除される制度が創設され、それに合わせて寡婦(夫)控除が見直されました。
 
これによって、前年の合計所得が135万円以下のひとり親は、個人住民税が非課税となります。また、生計をともにする子がいる前年合計所得が500万円以下の単身者は、総所得金額から30万円の控除(ひとり親控除)が受けられます。
 

・新型コロナウイルスに関する特例

型コロナウイルスのまん延防止措置のために、文化芸術イベントなどが中止され場合があります。その際に、チケット代金払い戻しを辞退もしくは一部辞退した場合、その金額は寄付金税額控除の対象になります。上限は20万円です。ただし、対象イベントは限られています。
 

2021年度(令和3年度)の税制改正は850万円が増減税のボーダーライン

2021年度(令和3年度)の税制改正で、は、給与所得が850万円を超える人は増税する可能性が高いです。対して、所得金額調整控除の対象となる方、扶養控除やひとり親控除の対象となる家庭は、住民税がこれまでより安くなるケースが多いでしょう。
 
なお、働き手の多くを占める、年収850万円以下の会社員や公務員は、給与所得控除額が下がるものの、基礎控除額が増えるため、基本的に住民税に変化はありません。
 
出典
大阪市個人市・府民税の税制改正内容令和3年度から実施される主な税制改正
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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