更新日: 2022.01.02 確定申告
要注意! 確定申告でミスが多い項目(2)所得控除関係
今回も、国税庁ホームページ『確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A』の「Q23 所得税及び復興特別所得税の確定申告の際に、誤りの多い例にはどのようなものがありますか。」を例にとり、詳しく見ていきましょう。
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
医療費控除での計算誤り
医療費控除をする際に、事前に「医療費控除の明細書」を作成します。その際に誤りが多い事項に、次のようなものがあります。
処方箋を持って薬局に行くと、小物やお菓子などが目に入ります。名前こそ「◯◯薬局」ですが、日用品の購入ができます。生鮮食料品まで取り扱っているところもあります。いくら薬局で購入したからといっても、日用品は医療費控除の対象になりません。
他に、高額療養費や高額介護合算療養費、出産育児一時金や生命保険・損害保険からの給付金で補てんされる場合は、給付の目的の医療費を限度として、医療費の額から差し引きます。
例えば、医療機関Aに支払った5万円に対し、生命保険から10万円の給付金が出た場合、医療費控除の合計からAに支払った5万円を除外します(給付金は給付の目的とされる医療費の補てんとなります。医療費に対して給付が多くても、他の医療費に補てんする必要はありません)。
間違って適用していない? 適用誤りに注意
該当していないにもかかわらず、うっかりと控除してしまわないよう注意しましょう。
○地震保険料控除の適用誤り
地震等損害保険契約以外では控除の対象になりません。ただし、平成18年12月31日までに契約した長期損害保険契約等は除きます。支払っている保険が地震保険の対象になるかどうかは、保険会社から送られてくる証明書で確認をしてください。
○配偶者控除および配偶者特別控除の適用誤り
納税者の合計所得金額が1000万円を超えている場合は、配偶者に収入がなくても配偶者控除・配偶者特別控除を受けることはできません。配偶者が同一生計配偶者に該当する場合は、申告書第2票の「配偶者や親族に関する事項」欄に配偶者の氏名等必要事項を記載し、「同一」に丸を付けます。
配偶者控除(配偶者所得48万円以下)を受けられる場合は、配偶者特別控除は受けられません。
○基礎控除の記載漏れ・適用誤り
令和2年より、合計所得が2500万円を超えている方は、所得から基礎控除を引くことができません。2400万円以下の人は48万円の基礎控除を所得から引くことができます。2400万円超(2500万円以下)の場合は、所得金額に応じた控除額を引くことができます。
該当している場合は忘れずに! 適用漏れに注意
該当する方は差し引ける分です。控除忘れに注意しましょう。
○寄付金控除の適用漏れ
ふるさと納税でワンストップ特例を適用する申請書を出した場合でも、その年分を確定申告する場合、ワンストップ特例の申請済みの分も含めて令和3年中に支払ったすべてのふるさと納税の金額を寄付金控除の計算に含める必要があります。
確定申告で所得税を計算し直すためです。
○寡婦控除・ひとり親控除の適用漏れ
ひとり親とは、婚姻関係者がいない、合計所得が500万円以下で、生計を一にする子(総所得金額が48万円以下、他の人の扶養になっていない)がいる場合です(控除額35万円)。
寡婦とは、ひとり親に該当せず、夫と離婚した後に結婚をしておらず、扶養親族がいて合計所得が500万円以下の人、あるいは夫と死別(または行方不明)後、結婚をしておらず合計所得が500万円以下の人です(控除額27万円)。
ひとりで頑張っている方、控除を忘れずに。ただし、事実婚は籍を入れてなくても結婚していると同等にみなされることにご注意ください。
ここまでで、所得と控除で注意するところを見てきました。次回、シリーズ3回目でいよいよ税額計算を確認しましょう。
出典
国税庁「【申告相談】確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A」
国税庁「No.1191 配偶者控除」
国税庁「No.1195 配偶者特別控除」
国税庁「No.1199 基礎控除」
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
国税庁「ひとり親控除及び寡婦控除に関するFAQ(源泉所得税関係)」
国税庁「令和3年分確定申告特集 準備編」
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者