更新日: 2022.01.15 控除
交通費は年収に含まれる? 交通費が非課税となる要件とは?
交通費は、基本的に給与収入に含まれるものとして取り扱われますが、利用する交通手段によって一定額まで非課税となる措置が取られています。
したがって非課税部分は給与収入に含められませんが、その非課税部分とはいくらまでなのでしょうか。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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交通費は年収に含まれる?
企業に勤める場合、ほとんどの企業において通勤に必要な交通費が支給されます。求人情報を見ると、「交通費支給」となっている企業が多くあると感じるのではないでしょうか。
支給された交通費については、原則として支払われる給与に含まれますが、通勤手段によって一定額までは非課税となる措置が設けられています。そして非課税部分については年収に含まれません。
公共交通機関を利用して通勤している場合
電車やバスなどといった公共交通機関のみを利用して通勤している場合、一定額までは非課税です。その詳細については以下のとおりです。
■非課税枠
月15万円まで。
(通勤手当や通勤に伴う定期券の額が月15万円を超える場合、その超える部分は課税対象となる)
■非課税対象者
非課税の対象となるのは、従業員だけでなく、役員も当てはまります。
■非課税とみなされるための要件
公共交通機関を利用して通勤している場合に、その交通費の15万円までが非課税となるためには、その公共交通機関を利用して通勤する経路が、通勤のための運賃や時間、距離などの事情を考慮し、最も経済的、かつ合理的な経路および方法である必要があります。
例えば、通勤経路にバスと電車両方の手段があり、電車利用の方がバス利用よりも金額が少ないならば、電車を使った場合の金額を用いて計算します。会社によっては新幹線通勤を認めているケースもあります。
その場合も合理的な経路および方法として認められますが、グリーン車利用の金額は認められません。
マイカーもしくは自転車通勤の場合
自家用車や自転車を使って通勤している方もいらっしゃるでしょう。その際の交通費(1ヶ月あたりの限度額)については、自宅から会社までの片道の通勤距離に応じて以下のように定められています。
したがって、この限度額を超える部分については課税対象となります。
■非課税対象者
従業員だけでなく、役員に支払われる給与における交通費も当てはまります。
公共交通機関とマイカーもしくは自転車を併用する場合
電車やバスなどといった公共交通機関に加えて、マイカーや自転車なども使って通勤している場合の非課税枠は、以下の方法によって計算されます。
■非課税枠
以下の1および2の合計額。ただし15万円を非課税枠の上限とします。
1.電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合の1ヶ月間の通勤定期券などの金額
2.マイカーや自転車などを使って通勤する片道の距離で決まっている1ヶ月あたりの非課税となる限度額
まとめ
通勤における交通費の非課税枠は、2016年に改正が行われ、それまでは10万円だった非課税枠が15万円に拡大されました。
ただ、その計算については、公共交通機関のみを利用している場合、マイカーや自転車通勤の場合、さらには公共交通機関とマイカーもしくは自転車を併用している場合で計算方法が異なります。
交通費の額は月単位で計算され、非課税枠を超えた部分については、収入金額の対象となり、給与額に上乗せされ、所得税が源泉徴収されます。また、これらの計算は正社員だけではなく、パート社員やアルバイトの方にも適用されます。
月の交通費が15万円を超えるケースは少ないと思われますが、なかには遠方から通勤しており、その手段によっては15万円を超えるケースもあるでしょう。
また、マイカーや自転車通勤の場合は、片道の距離に応じて非課税枠が決められていますので、交通費の金額に気をつける必要があります。
扶養範囲内で働きたいと考えている場合は、自身の通勤手段とその非課税枠をきちんと把握し、課税部分を含んだ金額が103万円を超えていないかどうか確認しておくことが大切です。
出典
(※1)国税庁「電車・バス通勤者の通勤手当」
(※2)国税庁「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員