更新日: 2022.01.17 年末調整

11月で退職した場合、年末調整はどうすればいいの?

執筆者 : 小久保輝司

11月で退職した場合、年末調整はどうすればいいの?
12月に入ると、会社員の方などは、「年末調整」の書類を提出する時期になります。会社から「年末調整」の書類を渡され、中身はよく分からないけれど取りあえず提出しているという人もいるかと思います。
 
そこで「年末調整」とはどんなものか、また、年の途中で退職した場合にはどうするかなどを分かりやすく説明します。
小久保輝司

執筆者:小久保輝司(こくぼ てるし)

幸プランナー 代表

30数年の営業経験と金融・経済の知識をマッチング納得いくまでお話しさせていただきます。

年末調整とは

日本国民は納税の義務があり、収入を得た人は所得税を払う必要があります。原則前年の1年間の所得に対して、翌年の2月16日~3月15日の間に「確定申告」をして納税することになります。
 
ただし企業従事者(会社員など)の場合は、企業が給与の支払時に従業員から源泉徴収し納税を代行しています。
 
具体的には、企業は従業員の毎月の所得(給与・賞与など)に対し「源泉徴収税額表」に基づき、従業員から所得税(復興特別所得税を含む)を徴収し、給与を支払った翌月の10日までに税務署に納めます。
 
しかし、所得に変動(扶養家族の増減や昇給があったときなど)があった場合、徴収している税金と実際に支払わなければならない税金とで差額が出る場合があります。
 
そこで、源泉徴収されている税金額と、実際に支払うべき税金額を一致させる手続きが必要となり、年末までにこの調整をすることになります。これを「年末調整」と言います。
 

年末調整の対象者は

「年末調整」が必要な人は、「扶養控除等申告書」を提出し、原則12月末時点で企業に在籍、年収が2000万円未満の人が対象となります。また死亡退職した人や海外転勤した人などは、前倒しの年末調整をする必要があります。
 
ただし災害減免法の規定により、その年の源泉徴収について所得税(復興特別所得税を含む)の徴収猶予や還付を受けた人は除かれます。
 
年末調整をしても、

(1)副収入が20万円以上ある人      
(2)不動産を売却した人
(3)一般口座で株の取引をしている人

などは別途「確定申告」が必要となります。 
 
また年末調整した人の中で、

(1)医療費控除を受ける人
(2)寄付金控除を受ける人
(3)住宅ローン控除を初めて受ける人
(4)雑損控除を受ける人

などは「還付申告」(翌年の1月1日から5年間有効)が必要となります。
 

11月に退職した場合の年末調整は

年末調整には企業が発行する「源泉徴収票」が必要です。そして、12月に企業に在籍していなければ年末調整はできません。
 
従って12月に企業に在籍していない人は、各自で「確定申告」する必要があります。
 
※具体例として
11月30日に(A)社を退職した場合の年末調整は、12月時点にどこで働いているかが問題となります。2つの例で見てみます。

(1)12月1日に新しい会社(B)に入社するケース

この場合、11月まで勤めていた会社(A)より源泉徴収票をもらい、新しい会社(B)で合算して年末調整をすることになります。

(2)翌年の1月5日に新しい会社に入社するケース

この場合、12月時点では企業に所属していないので年末調整はできません。

11月まで勤めていた会社(A)より源泉徴収票をもらい、翌年の2月16日~3月15日の期間に自分自身で「確定申告」をすることになります。
 
なお、企業により事情が異なる場合がありますので、確認が必要となります。
 

まとめ

年末調整・確定申告は、所得にかかわる大切な作業となります。必要な書類(源泉徴収票・保険料納付書など)は分かりやすいところにまとめて保管しておくようにしましょう。
 
また、年末調整等の機会に、収入から所得への流れを把握し、収入に対しどのくらいの税金を払っているのかなど確認してみるのもおすすめです。
 
ちなみに「確定申告」が必要な場合は、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナー(※)で画面の案内に従って入力することで、作成・送信までe-Taxにより手続きができます。
 
出典
(※)国税庁 確定申告書等作成コーナー
 
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表

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