更新日: 2022.02.01 確定申告

青色申告に向いているのはどんな人? 受けられる特典とは?

青色申告に向いているのはどんな人? 受けられる特典とは?
個人事業やフリーランスをされている方で、初めて確定申告をする方は「青色申告をした方が良い」という話を耳にしたことがあると思います。青色申告は、不動産所得、事業所得、山林所得がある方が利用できる制度です。
 
この記事では、青色申告の利点を解説します。
遠藤功二

執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。

青色申告とは

青色申告は、複式簿記で作成した損益計算書と貸借対照表を確定申告書に添付して提出することにより、所得税の申告において特典を受けられる制度です。青色申告を行いたい方は、青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
 
提出の期限は原則、承認を受ける年の3月15日までとなっており、1月16日以後に開業した方は業務を開始した日から2ヶ月以内となっています。青色申告を行うと、以下に挙げる特典が受けられます。
 

青色申告特別控除

青色申告特別控除は、青色申告承認申請書を提出した青色申告者が受けることができる制度です。
 
不動産所得または事業所得がある方は、最高で65万円の控除を受けられます。65万円の控除を受けるためには、確定申告書と損益計算書、および貸借対照表の提出をe-taxで行うか、一定の電子帳簿の保存を行った上で届出書を提出する必要があります。従来の方法で申告を行うと、控除額は最高で55万円になります。
 
また、不動産所得で65万円または55万円の青色申告特別控除を受ける場合には、事業的規模が必要になります。事業的規模とはおおむね、家屋で5棟以上、アパート等で10室以上の規模といわれています。
 
65万円または55万円の青色申告特別控除の条件を満たしていない場合の不動産所得と事業所得、および山林所得の青色申告特別控除額は10万円になります。
 

青色事業専従者に対する給与の必要経費への計上

本来、生計を同じくしている配偶者や親族に支払った給与は必要経費になりません。しかし、青色事業専従者に支払った給与であれば、生計が同じ配偶者や親族に支払った給与であっても必要経費に計上することができます。
 
青色事業専従者となれる方は、青色申告者と同一生計の配偶者や親族であり、申告の対象となる年の12月31日時点で15歳以上、その年の6ヶ月を超える期間または事業に従事できる期間の半分超の期間にその事業に専従している方です。
 
青色事業専従者の給与を必要経費に計上する場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」を、納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
 
提出期限は、青色事業専従者給与を必要経費に計上する年の3月15日までとなっており、1月16日以後に開業した方は業務を開始した日から2ヶ月以内となっています。
 

貸倒引当金の計上

事業所得者は、一定金額の貸倒引当金を必要経費として計上することができます。必要経費に計上できる限度額は、年末時点の貸金(売掛金や貸付金など)の帳簿上の合計額の5.5%(金融業の場合は3.3%)以下の金額とされています。
 

純損失の繰り越しと繰り戻しができる

事業所得で損失が生じ、損益通算をしても損失が残る場合は、翌年以後3年間、損失を繰り越すことができます。
 
本年は赤字なので所得税の納税はなかったが、前年は所得が黒字であったために納税している場合は、赤字額を前年に繰り戻し、前年の所得税から還付を受けることができます。
 

青色申告が向いている人

ここまで見てきたとおり、青色申告は特に事業所得者にとって利用しやすい制度になっています。青色申告特別控除、青色事業専従者給与の必要経費の計上などを駆使することで、青色申告をしないよりは納税額の上昇を多少なりとも抑えることができるでしょう。
 
事業を始めたばかりの方は、初年度に必要経費が多めにかかり純損失になることが少なくありませんが、純損失の繰り越しをしておけば、次年度以降の納税額を抑えられるかもしれません。
 
独立し、個人事業の開業届を提出する方は、青色申告承認申請書をセットで提出するくらいの感覚で差し支えないでしょう。
 
出典
国税庁 No.2070 青色申告制度
国税庁 No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分
国税庁 No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
 
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

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