更新日: 2022.02.12 確定申告
セルフメディケーション税制についておさらい! わたしも対象ってホント?
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
セルフメディケーション税制とは
セルフメディケーション税制とは、健康のため一定の取組(注1)を行う個人が、自己または自己と生計を一にする配偶者、その他の親族に係る一定の医薬品(注2)を購入した場合において、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った額の合計額が1万2000円を超えるときは、その超える部分の金額(8万8000円を超える場合には、8万8000円)について、その年の総所得金額から控除することできる制度です(※1)。
(注1)健康の維持増進および疾病の予防への取組
(注2)詳しくは厚生労働省のセルフメディケーション税制対象品目一覧(※2)を確認してください。また、税制対象品目には、図表1のマークがついているので、参考にしてください。
【図表1】
医療費控除制度との選択制
セルフメディケーション税制は、医療費控除制度の特例であるため、一方を選択するともう一方は選択できません(※3)。そのため、どちらの制度を利用するかは、納税者自身が決めなければなりません。
医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費(治療目的)を支払った場合において、その支払った医療費が一定額(原則10万円)を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(原則10万円を超える金額)について、総所得金額から控除できる制度です(※4)。
セルフメディケーション税制と医療費控除制度を選ぶ基準
セルフメディケーション税制と医療費控除、2つの制度の内容は理解していても、どちらを使うのかについては考える必要があります。そこで簡単に例を挙げて考えてみましょう。
医療機関で支払った金額:9万円
市販薬の購入金額:3万円
※医療機関で支払った金額・市販薬は、どちらも控除の対象である支払いと仮定
※高額療養制度や保険金が支払われたといった特殊なケースを除く
医療費控除:(9万円+3万円-10万円)=2万円(所得から控除できる金額)
所得税:2万円×20%=4000円
住民税:2万円×10%=2000円
つまり、4000円+2000円=6000円の減税が可能
セルフメディケーション税制:3万円-1万2000円=1万8000円
所得税:1万8000円×20%=3600円
住民税:1万8000円×10%=1800円
つまり、3600円+1800円=5400円の減税が可能
このように、どちらの制度を使うのかによって減税効果が異なります。また、実際に支払った内容(対象になるのかならないのか)によっても減税効果は異なります。制度を正しく理解し、どちらの制度を使うのか、決めることが大切です。
カギとなるのは市販薬の購入
医療費控除の対象となるのは、治療を目的とする治療代や薬代、さらには交通費等です。また、セルフメディケーション税制の対象となるのは、健康の維持増進および疾病予防への取組のための特定の薬代です。
医療費控除の対象となる市販薬と、セルフメディケーション税制の対象となる市販薬が異なる場合もあり、見分けるのが難しく、セルフメディケーション税制が広がらない要因の一つになっています。
購入した市販薬がセルフメディケーション税制のみの対象であるならば、1万2000円を超えていれば減税効果があります。また、購入した市販薬がセルフメディケーション税制と医療費控除のどちらも対象になっているのであれば、医療機関で支払った金額にもよりますが、減税効果が期待できます。
まずは領収書(レシート)の整理から
セルフメディケーション税制や医療費控除を受ける場合、まずは、領収書をきちんと残しておいて、整理することから始めましょう。やり方としては次の通りです。
(1)医療機関で支払ったものと、お近くのドラッグストアで支払ったものを分ける
(2)医療機関で支払ったものを集計する
(3)ドラッグストアで支払ったもののうち、セルフメディケーション税制のみが対象となるものを集計する
なお、領収書(レシート)を整理するときに、その領収書(レシート)のセルフメディケーションマーク(★)を探すと分かりやすいです。ご参考にしてください。それから試算をしてみて、どちらの制度を利用するのが得なのかを考えてみてください。
【出典資料】
(※1)厚生労働省:セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
(※2)厚生労働省:セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について「2 セルフメディケーション税制対象品目一覧」
(※3)国税庁:セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用
(※4)国税庁:医療費を支払ったとき(医療費控除)
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士