更新日: 2022.02.21 確定申告

青色申告と白色申告の違いって何? わかりやすく解説

執筆者 : 菊原浩司

青色申告と白色申告の違いって何? わかりやすく解説
近年、起業や副業で個人事業主として活躍し、収入増加や収入源の多様化を目指す方が多くなっています。
 
事業主として働く際には所轄の税務署に開業の手続きを行う必要がありますが、この際、「白色申告事業者」にするのか、青色申告承認申請書を提出して「青色申告事業者」にするのかを選ぶことになります。
 
青色申告と白色申告には経理や申告・納税でさまざまな違いがあります。起業する際には、両申告制度の差異やメリット・デメリットについて把握しておきましょう。
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

青色・白色申告制度の違いは?

青色申告と白色申告の違いは、まず帳簿の記帳方法と確定申告時の提出書類の違いにあります。
 
事業を営んだ場合、その収入・所得は基本的に事業所得として申告・納税を行うことになりますが、日々の経営状態を把握するため、事業主には帳簿の作成と保存が義務付けられています。
 
その帳簿のつけ方は、白色申告では「支出:電気代1万円」といった簡便な単式簿記で済みますが、青色申告では「借方:電気代1万円、貸方:現金1万円」といった借方・貸方を明記した複式簿記での記帳を行う必要があります。
 
また、確定申告の際の提出書類についても青色申告は青色申告決算書(損益計算書と貸借対照表)の提出が必要ですが、白色申告の場合は収支内訳書のみとなっています。
 
青色申告は白色申告に比べ、書類や帳簿の作成と申告時に手間を要しますが、青色申告特別控除や損失の繰越控除により所得税・住民税の税負担を小さくできるメリットがあります。
 

青色・白色申告制度のメリット・デメリット

白色申告は青色申告に比べて経理・申告業務を簡便に済ませることができますが、税控除が小さくなるデメリットがあります。
 
青色申告では経理・申告業務が煩雑になる反面、利用できる所得控除の額が増えるため白色申告と比べ税負担が小さくなるメリットがあります。
 
青色申告を選択した場合に利用できる所得控除として、10万円~65万円の青色申告特別控除が適用され、また、赤字となった場合にその赤字額を3年間繰越控除することができます。
 
そのほか、年末に残っている売掛金や貸付金などの売掛債権・金銭債権に対して、5.5%の額を貸倒引当金繰入として必要経費に計上することができます(一括評価による貸倒引当金の繰入)。
 
これは商品やサービスの売上金が直ちに支払われるのではなく、月末や翌月などにまとめて支払われることが多い場合、取引先の倒産や不払いによって売掛金や未収金などが回収不能になってしまうリスクがありますが、こうした場合に備え売掛金などの一部を回収不能見込額としてあらかじめ損金として計上しておく会計処理です。
 
また、青色申告の場合、納税者と生計を同じくする配偶者や15歳以上の親族が事業に従事している場合、事前に届け出を行うことで事業専従者となり、事前に青色事業専従者給与に関する届出書を税務署に提出する必要があります。なお、白色申告でも事業専従者控除は使えます。
 

自身の事業内容に合った申告制度の活用を

白色申告は経理業務などが簡便ですが控除額などが小さいため、利益が出た場合は税負担が大きくなります。また、青色申告は経理業務などが煩雑になりますが、青色申告特別控除や損失の繰越控除といった特典を多く利用できるようになります。
 
例えば、税負担の軽減や一時的に赤字に陥ってしまいその損失を繰り越したい場合、事業内容から売掛金や未収金などが多かったりまたは家族・親族が専従者として事業に従事したりしている場合などには、青色申告を利用するメリットが大きいといえます。
 
これに対し、収入が少なく所得控除などのメリットが小さい場合、経理業務の負担を小さくしたい場合などには、白色申告を検討してみるとよいでしょう。
 
青色申告の適用を受ける場合は、申告しようとする年の3月15日まで、また、その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合には、その事業開始等の日から2月以内に税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
 
また、青色申告から白色申告へ変更する場合は、翌年の3月15日までに「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出することになります。
 
切り替えによるペナルティーなどは生じないため、自身の事業内容に合った申告方法を賢く利用しましょう。
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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