更新日: 2022.02.22 その他税金

【家計相談】「亡くなった親の自宅を売りたい」どのような税金がかかる?

執筆者 : 柴沼直美

【家計相談】「亡くなった親の自宅を売りたい」どのような税金がかかる?
親が亡くなり、親の自宅を相続したAさん。しかし、Aさんにはすでに持ち家があるため、相続した家の売却を検討した場合は、どのような税金がかかるのでしょうか。
 
結論からいうと、確実にかかる税金は、譲渡所得税と印紙税です。場合によっては登録免許税がかかることもあります。では1つずつみていきましょう。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

かかる税金その1:譲渡所得税

まず知っておきたいのが、譲渡所得税です。自宅を売却した利益に対する所得税と住民税を併せた税金のことです。相続した親の自宅を売却し、取得費用などの経費を控除したあとの利益に対して、一定の割合で課税されます。おおまかな手順については以下のとおりです。
 
売却収入-(取得費+譲渡費用+特別費用)を求めます。
 
売却収入というのは、不動産売買契約書に記載された売買代金のことです。このとき、買い主から未経過固定資産税や都市計画税の精算金を支払われたとすれば、その清算金も加えます。
 
固定資産税および都市計画税は、1月1日時点でその不動産を保有している人に対して課税されることになっているので、たとえ10月1日に売却して、残りの3ヶ月分は所有者でなかったとしても12ヶ月分を納税します。
 
ですから残りの3ヶ月分を売買当事者の間で調整する(買い主から売り主に支払う)ことになります。この金額を加えるというわけです。
 
■取得費
取得費については、土地と建物に分けて計算しなければなりません。なぜなら土地は年月がたっても価値が変わらないのに対して、建物は古くなっていくと価値が減少していくため、その分を別途考慮しなければならないからです。
 
親から相続した土地の取得費は、親がその土地を購入したときの購入代金や購入手数料に、相続人が相続した際の登記費用、登録免許税等を加えた金額のことです。なお、遺産分割に関連する訴訟費用や弁護士費用は、取得費に含まれません。
 
親から相続した建物の取得費には、経年劣化を考慮して、建物の減価償却費相当額を控除しなければなりません。これは、親が建物を取得したときからの減耗分を計算します。親が実家を購入した金額かなどがわからないという場合には、収入金額の5%を取得費にできます。
 
■譲渡費用
譲渡費用は、自宅を売却するためにかかった費用(仲介手数料や測量費等)のことです。修理費や維持管理費は含まれません。
 
■特別控除
親から相続した自宅を売却した際に、特別費用として控除できる仕組みがあります。それぞれについて、細かい条件が述べられているのでここでは割愛します。国税庁のホームページ(※1)で確認してください。
 
これらを計算したうえで、売却した親の不動産がどのぐらいの期間所有していたかによって、異なる税率をかけて算出します。こちらも詳しくは、国税庁のホームページ(※2)で確認してください。
 

かかる税金その2:印紙税

印紙税は、不動産売買契約書作成時にかかる税金です。税額は契約書に記載された契約金額に応じて、段階的に増えていく仕組みになっています。詳細は国税庁のホームページで確認してください。
 
例えば、2022年2月現在で契約金額が5000万円を超え1億円以下の場合、軽減税率が適用されるため、3万円となります(※3)。
 

かかる税金その3:登録免許税(ケース・バイ・ケース)

登録免許税は、不動産売却によって所有者が変わり、不動産登記上の所有者の名義が換わるときに発生します。次の2つの場合があります。
 
1つめは、売るときまで住宅ローンが残っていた場合に、抵当権を抹消するための登記費用です。一般的には売り主が負担します。2つめは、不動産の所有権の移転や抵当権を設定するための登記費用です。こちらの場合は、買い主が負担するのが一般的です。
 
金額ですが、固定資産評価額に一定の税率をかけて算出しますので、確認してみましょう(※4)。なお、登記に関しては手続きが複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的なようです。
 
出典
(※1)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.3223 譲渡所得の特別控除の種類
(※2)国税庁 土地や建物を売ったとき
(※3)国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置
(※4)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.7191 登録免許税の税額表」
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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