更新日: 2022.03.03 その他税金
日本の税金は高いの?世界の税金と比較
もちろん日本だけではなく、世界の国々で税金が課せられていますが、日本の税金は高いのでしょうか。
執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)
夢実現プランナー
2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている
税金の種類
税金といっても、大変多くの種類があります。納付方法では直接税と間接税、納付先では国税と地方税に大きく分けることもできますが、財務省のホームページ「税の種類に関する資料」では、46種類の税金があります。
所得税や消費税、自動車税など、よく知っている税金もあれば、特定の人でなければ聞いたことがないような税金もあります。
税収の内訳を見ると、所得に関する所得課税が48.7%と約半分を占めています。次いで消費税や酒税などの消費課税が36.9%、資産課税等が14.4%となっています。
【図表1】
※財務省 「税の種類に関する資料」より筆者作成
代表的な税金の税率は
日本の税収のほぼ半分を占める所得課税のうち、個人から徴収される所得税の税率は累進課税制度が採られており、5%~45%の間の7段階で、所得が多くなるほど税率が高くなります。
企業が徴収される法人税は基本的には一定となっており、2022年(令和4年)2月時点では23.2%となっていますが、中小企業のうち、所得が年800万円以下の法人は軽減税率が適用されて15%となっています。
間接税の消費税は、2019年10月に税率が10%に引き上げられましたが、酒類および外食を除く飲食料品は、軽減税率として8%となっています。一方、海外の所得税と法人の実行法人税率、消費税を比較したのが図表2です。
【図表2】
※財務省 「わが国の税制の概要」より筆者作成
※諸外国は2021年1月適用の税法に基づく
※カッコ内は地方税等を含めた場合
図表2は、5カ国の個人の所得税の比較をしたものですが、ドイツとフランスでは最低の所得税率が0%となっています。最高税率は45%としている国が多く、同程度になっていますが、住民税という地方税もあり、日本では実際には55%が徴収されています。
【図表3】
※財務省 「わが国の税制の概要」より筆者作成
※2021年1月時点
※法人所得税と地方税を含む法人実効税率
図表3は、法人が実質で負担する法人実効税率(地方税も含む)を比較したものです。日本はドイツよりは低くなっていますが、その他の国から見ると高い税率となっています。
【図表4】
※財務省 「わが国の税制の概要」より筆者作成
※2021年1月時点
※カッコ内は軽減税率(イギリスやフランスは目的・サービスなどによって軽減税率が異なる)
アメリカには消費税というものがなく、代わりに小売売上税が消費税と同じような税金となり、税率は州によって違っています。
また、イギリスやドイツ、フランスでは20%程度の標準税率となっていますが、例えばイギリスでは、食料品などは税率0%と消費税がかからないものもあります。
消費税は、アジアでは低い税率が採用されている国が多くなっています。欧州連合(EU)の国では20%程度の消費税率が採用されており、日本と比べると高い税率となっています。
年収別の所得税の税負担額の比較
所得税や住民税は、日本だけではなく海外でも所得によって税率が変わる累進課税制度が採られています。
【図表5】
■年収別の個人所得課税負担額の比較
※財務省 「わが国の税制の概要」より筆者作成
※2021年1月時点
※夫婦と子ども2人(19歳と16歳、共に就学中)のモデルケースによる比較
前述した個人所得税の税率だけで見ると横並びでしたが、住民税などを含んだ個人所得課税の負担を年収別で確認すると、図表の5グラフのような違いがあることが分かります。
日本とアメリカは同程度の税負担になっているようにみえますが、イギリスやドイツ・フランスの欧州連合(EU)の国では個人の税負担が大きくなっているようです。
まとめ
税金には所得課税と消費課税の他にも、相続税など資産課税という種類もあり、海外の国と比べると高い税率、低い税率のものがあります。
税率が高いと負担に感じると思いますが、税金は社会保障費や公共事業費などに使われているお金です。日本の少子高齢化などもろもろの問題の対策のため、今後の税負担が増えていく可能性は否めないのかもしれません。
出典
財務省 税の種類に関する資料
財務省 わが国の税制の概要
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー