更新日: 2022.03.08 その他税金

現金を手渡しでやり取りする場合、税金を支払う必要はあるの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

現金を手渡しでやり取りする場合、税金を支払う必要はあるの?
多くの企業では、従業員の給料支払いを銀行振り込みで行っています。しかし小さな会社や個人商店、日雇いのバイトなどでは、賃金を現金の手渡しで支払う場合もあります。
 
また遺産の相続を現金で直接行ったり、子どもや孫に現金を贈与したりするケースもあるでしょう。こうした現金手渡しのやり取りで、もし明細などの書面が存在しない場合には、税金を支払う必要はあるのでしょうか。
 
この記事では、現金を手渡しでやり取りすることに関係する税金について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

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サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

手渡しのやり取りにも税金は発生する

結論から書くと、手渡しのやり取りであっても、支払うべき税金は支払う必要があります。国税庁のWebサイトをみても、「現金手渡しなら課税が免除される」などという文言はもちろんありません。また後述しますが、「手渡しなら記録が残らないから申告しなくてもバレないのではないか」とは考えない方がいいです。取得したお金の額に応じて、適切に税金を納めるようにしましょう。
 
では、どのような場合に税金を支払う必要が出てくるのでしょうか。現金による直接のやり取りに関係する税金の主なものとして、次の2つを挙げます。

●所得税(および復興特別所得税)
●相続税、贈与税

以下、それぞれどのような場合に税金を支払わなければならないのかをみていきましょう。
 

所得税:年間103万円を超える所得に発生。納税は源泉徴収もしくは確定申告で

所得税(および復興特別所得税)は、給与所得者で、年間収入が103万円を超える場合に支払う税金です。支払う方法には源泉徴収と確定申告があります。サラリーマンの場合、雇用主である会社や個人が、本人に代わって毎月の給料から所得税と復興特別所得税を納めなければなりません。これが源泉徴収で、雇用主には源泉徴収をする義務が課せられます。
 
一方で個人事業主や、給与所得者で給与所得と退職所得以外の所得金額が20万円を超える場合や2ヶ所以上から給与を受け取っている場合は、本人が確定申告を行う必要があります。
 
いずれの場合も、お金のやり取りの方法(手渡し、または振り込み)に関係なく、給与所得者で、年間収入が103万円を超えるならば、納税の義務が発生します。たとえ給料や報酬の支払いが現金手渡しであっても、漏れなく納めるようにしましょう。
 

相続税・贈与税:現金の生前贈与でも税金が発生する

相続税は、相続等によって取得した財産に課される税金です。一方の贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。現金のほか、自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合などにもかかります。贈与税は、1年間(1月1日~12月31日)で110万円を超える贈与を受けた場合に支払う必要があります。
 
遺産相続の一環として、生前に現金等を贈与する「生前贈与」を行う場合があります。この生前贈与において、現金を直接手渡すケースが考えられますが、それも贈与税の対象となることを押さえておきましょう。
 

現金手渡しで税金逃れはできない

給料にせよ贈与にせよ、現金の手渡しであれば記録が残らず、税金を納めなくても済むのではないか。人間なので、そうした考えが頭をよぎることがあるかもしれません。
 
しかし手渡しであろうとほかの方法であろうと、税金を支払う義務は生じるし、生じたときは支払わなければなりません。給与であれば、会社側はそれを経費として計上するのが普通なので、そもそも隠しません。贈与であれば、税務署の調査が入れば隠し通すことは困難です。
 
もし脱税や申告漏れが発覚すれば、本来支払う分に加えて、追徴課税によってより多くの金額を支払わなければならなくなります。また、きちんと納税していない不安や後ろめたさを常に抱えるのは、精神衛生上もよくありません。結局は素直に申告することが、お金のリスク管理の面でも社会的信用の面でも、また心身の健康の面でも一番だと言えます。
 

現金手渡しでも、お金のやり取りである以上は税金が関わる

さまざまな事情によって、現金手渡しによるやり取りを行うことはあるでしょう。しかし「現金手渡し」という手法には関係なく、お金をやり取りする以上は、そこに税金が関わります。銀行振り込みやクレジット決済が当たり前になっている現代ですが、手渡しの際にも税金のルールを忘れず、納めるべき税金は漏れなく納めるようにしましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
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