
では、北欧3カ国の税金はどれくらい高いのでしょうか。日本と比較しながら確認してみましょう。

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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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北欧と日本の税金の違い
北欧の福祉は「高福祉・高負担」という言葉でよく表されます。良いサービスを受けるのなら、高い税金や社会保険料を負担しなければならない、という考え方です。
これに対し、アメリカなどの社会制度は「低福祉・低負担」と呼ばれます。基本的な生活は国民の自己責任とし、税金や社会保険料は安くなっているのです。
北欧3国の福祉サービスや医療制度を支えているのが、消費税です。ノルウェーの標準消費税は24%、食料品消費税は12%です。スウェーデンは標準消費税が25%で食料品消費税が12%、フィンランドは標準消費税が22%で食料品消費税が17%となっています。
日本は標準消費税が10%で食料品消費税が8%なので、北欧の消費税がかなり高く設定されていることが分かります。
北欧3国の税金や社会保険料の高さは、国民負担率からも読み取れます。国民負担率とは、税負担と社会保障負担の合計が国民所得に占める割合のことで、国民の負担を知る指標になっています。
2019年の国民負担率は、ノルウェー54%、スウェーデン56%、フィンランド61%です。これに対し日本の国民負担率は44%であり、やはり北欧3国の税金、社会保険料負担が大きいことが分かります。
高い税金に裏打ちされた社会保障
こうした高い負担を課される一方で、北欧3国では手厚い社会保障サービスが提供されています。
ノルウェーは消費税が高く設定されている一方、出産や子どもの学費が無料で提供されています。日本と同じく高齢化が進んでいる国ですが、高齢者向け社会保障サービスを充実させる一方で元気な高齢者の社会参加を促す取り組みも行っています。
スウェーデンは子育て支援に力を入れている国で、児童手当と両親手当の両方が支給されます。出産費用や20歳までにかかる医療費、大学の学費も無料で、病気や障害がある子どもには別途手当が支給されます。
フィンランドは教育大国として知られ、大学までは無料で教育が提供されています。学力格差を極力なくすことで国全体の力を底上げするのが狙いで、教育制度や設備が非常に充実している国です。
負担が大きくても不満は出ない?
北欧三国は税金や社会保険料が高いものの、「国が責任を持って国民の面倒をみる」という考えの下で政策が行われています。
学費や医療費の無料化、各種手当や援助など、国民に分かりやすい形で社会サービスが提供されているため、負担が大きくともリターンが実感しやすくなっているのです。
また政府や役所の透明性が高く、高い負担率にも関わらず不満が出にくいと考えられています。
これに対し、日本では税金の使途や増税の理由が明確になっていないことが課題となっています。待機児童問題や年金受給開始年齢の引き上げ、生活保護費削減など、国民が公的サービスを実感しにくく生活に不安を持ってしまうことも解決すべきポイントといえるでしょう。
ただし北欧の社会制度が素晴らしく日本は劣っている、というわけではなく、考え方や政治体制が異なることを理解しておく必要があります。
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他国と比較してみよう
北欧3国の充実した社会保障制度は非常に魅力的に映りますが、実現するためには当然大きな負担が必要になります。
また、北欧の社会保障制度をそのまま日本に持ってくればよい、というのは短絡的です。
他国の制度と比較することは、日本の社会制度の課題や良い点を理解するのに役立ちます。いろいろな国の例を見比べて、保障と負担について考えてみましょう。
出典
財務省 付加価値税率(標準税率及び食料品に対する適用税率)の国際比較
財務省 国民負担率(対国民所得比)の国際比較(OECD加盟34カ国)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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