更新日: 2022.03.20 控除
令和4年4月1日から適用される「賃上げ促進税制」ってどんなもの? 本当に給料は上がる?
青色申告を行っている全ての企業および個人事業主のうち、一定以上の賃上げを行った者に対して、給与等支給額の一部を税額控除とすることで、租税負担を減らし、賃上げがスムーズに行われるように進めるねらいがあります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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賃上げ促進税制とは?
賃上げ促進税制とは、賃上げに取り組む企業および個人事業主を支援する施策として、令和4年(2022年)4月1日から施行されます。
対象となるのは青色申告を提出する全ての企業で、適用期間は令和4年4月1日から令和6年3月31日までに始まる各事業年度です。
なお、個人事業主については、令和5年から令和6年までの年度が対象になります。
そして大きく分けて、大企業向けの制度と中小企業向けがあります。
・大企業向け
大企業向けの制度では、継続雇用者全体の給与等支給額が、前年度比で4%以上増加(25%税額控除)、もしくは継続雇用者全体の給与等支給額が、前年度比で3%以上増加(15%税額控除)を達成することが条件です。
教育訓練費が前年度比で20%以上増加した場合は追加で、5%税額控除が受けられます。
ただし、資本金が10億円以上かつ従業員数1000名以上の企業は、「従業員への還元、取引先への配慮方針」を公表していることが、必要条件として加えられています。
ここで述べられている継続雇用者とは、前事業年度および適用年度において、全ての月で給与等の支給を受けた国内の雇用者で、前事業年度、適用年度の全ての期間を通じて、雇用保険の一般被保険者であり、加えて前事業年度および適用年度の全てまたは一部の期間で、高年齢者雇用安定法が定めている継続雇用制度の対象になっていない者のことです。
・中小企業向け
中小企業向けの制度では、雇用者全体の給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加(30%税額控除)、または雇用者全体の給与等支給額が、前年度比で1.5%以上増加(15%税額控除)が求められます。
教育訓練費が前年度比で10%以上増加すると、さらに10%税額控除が加算されます。
ところで、雇用者とは法人、個人事業主の、国内の事業所において作成された賃金台帳に記載された者を指します。正社員だけでなく、パート、アルバイト、日雇労働者も含まれます。
ただし、使用人を兼務する役員を含む役員、個人事業主と特殊な関係にある者(役員や個人事業主の親族など)は含みません。
次に教育訓練費とは、国内雇用者の職務遂行能力向上に必要な、技術や知識を習得させる目的で支出する費用のことです。
当該法人が外部講師を呼んだり、外部の施設を利用した研修を実施した際の費用、外部委託による教育訓練の費用、ほかの事業者が行う研修などに参加させる場合に支払った費用などが該当します。
賃上げは本当に実現するのか?
資本金額が10億円以上、かつ常時使用する雇用者が1000人以上の企業で、前事業年度の所得がセロを越える場合に、継続雇用者の給与等支給額が1%以上(令和4年4月1日から令和5年3月31日までに開始される事業年度については0.5%)増加が未達になると、研究開発税制その他生産性の向上に関する税額控除の規定(特定税額控除規定)の適用を受けられなくなる、という事実上のペナルティーがあるものの、賃上げ促進税制が導入されても、控除額は最大で法人税額または所得税額の20%までとなっています。
賃上げによる企業、個人事業主の負担は軽減されますが、どのくらいの実効性があるかは、現下の状況を考えると不透明といわざるを得ません。
本当のところはわからない
岸田内閣、政府の肝いり施策であることに間違いないのですが、コロナ禍でダメージを受けている企業、個人事業主にとって、賃上げの動機づけになるかどうかは現時点では何ともいえません。
ただ、現下の状況を考えると、賃上げすることによるメリットを政府が示すことで、検討事項にすらならなかった賃上げが、今後加速することも考えられます。
出典
経済産業省 賃上げ促進税制
財務省 令和4年度税制大綱(3/8)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員