退職金を受け取った翌年、住民税がとんでもないことに…。事前にできる対策って?
配信日: 2022.05.15
ここでは、退職の翌年に支払わなければならない住民税に対して、事前にどのような対策をしておけばよいのか解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退職後の住民税が高く感じられる理由
企業に勤めている人の場合、6月から翌年5月というくくりで給与から天引きされています。もし、3月に退職するのならば、未払いの4月と5月分の住民税が、給与や退職金から引かれています。また、住民税は前年の所得をもとに計算するため、退職によって給与収入が入ってこなくなった場合でも、住民税を納めなければなりません。
退職後の1年間は「普通徴収」と言って、自分で住民税を納めることになります。このように、収入がなくなった後も1年間は自ら住民税を納めなければならないため、退職金を受け取った翌年の住民税は高く感じられるのです。なお住民税の課税所得金額は、合計所得金額から所得控除を差し引いた額の10%です。
退職金にかかる住民税は少ない
退職金に対しても、住民税はかかります。ただ、退職金は勤続年数に応じて退職所得金額控除が多くなるよう優遇措置がとられているため、負担が大きくなりにくいです。例えば勤続年数が30年の人なら退職所得金額控除は1500万円、40年なら2200万円となっており、退職金の受け取り額がそれよりも少なければ、住民税はかかりません。
ただし、この退職金の税制優遇措置を受ける場合は、退職金を受け取る前に勤めていた企業に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておかなければなりません。
退職後の住民税が高くなる人ができること
退職金の課税所得金額は、退職金から退職所得金額控除を引いた額の2分の1です。勤続40年で退職金3000万円を受け取った場合の課税所得金額は400万円で、退職金に対する住民税だけで40万円を納めなければなりません。ただし次のようなケースでは、納める住民税の額を抑えられます。
・退職金の一部を年金として受け取る
退職金を全額一括で受け取るのではなく、一部を年金で受け取ると節税ができるかもしれません。年金で受け取る退職金は、退職所得金額控除の対象とはなりませんが、代わりに公的年金等控除を差し引くことができます。控除額は60歳から64歳までは1年当たり70万円、65歳以上は1年当たり120万円となっています。
・不動産所得や事業所得の赤字がある場合
退職金を受け取った人に不動産所得や事業所得の赤字がある場合、損益通算をすることで、翌年に納めなければならない住民税や社会保険料の額を少なくできます。この場合、確定申告が必要です。
・会社都合の退職の場合
定年退職は対象外ですが、会社都合の退職で退職金を受け取った場合には、住民税を減免してもらえるかもしれません。この場合、本人が失業保険を受け取るなどして求職に前向きである必要があります。また、災害に遭った人や病気などで長期療養が必要な場合も、住民税が減免されることがあります。
会社都合による退職は減免の対象となる場合もある
住民税が1年前の所得を基準にかかるという性質上、退職後1年間は住民税の負担が大きいように感じられます。ただし退職金に対しては税金負担が少ないようになっているため、法外な住民税を請求されることは少ないでしょう。
また、会社都合で退職を余儀なくされた場合などは、求職の意思を示せば住民税が減免されることがあります。お住まいの自治体に確認してみてください。
出典
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部