更新日: 2022.05.24 控除

別居中の兄を扶養に入れたいです。条件はどんなものがありますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

別居中の兄を扶養に入れたいです。条件はどんなものがありますか?
お兄さんが1人で生計を立てることが難しくなったときに、一緒に住むことは難しくても何かしらの方法で援助をしてあげたいと思うこともあるでしょう。
 
そのような際には、お兄さんを自分の扶養に入れることでお兄さんの経済的負担を軽くしてあげられます。ただし、別居しているお兄さんを扶養に入れるためには一定の条件を満たしていなければなりません。
 
そこで、今回は、別居中の兄弟や姉妹を扶養に入れるための条件について紹介します。
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そもそも扶養とは

「扶養」の本来の意味は一人で生計を立てられない人が生活できるように面倒を見て養うことで、一般的には、親族からの経済的な援助を意味します。ちなみに、援助を受けている人が被扶養者、援助をしている人が扶養者です。
 
日本の法律では、一定の範囲内の関係にある親族が自分だけでは生活を維持できない場合、経済的に支援をしなければならない扶養義務があります。原則として扶養義務がある一定の範囲内の関係にある親族とは、祖父母や父母、子どもや孫などの直系血族と兄弟姉妹です。
 

兄弟姉妹を扶養に入れるメリット

兄弟や姉妹を扶養に入れると税制上と社会保険上でそれぞれにメリットがあります。
 
まず、税制上のメリットとは、納税者である扶養者が扶養控除を受けることで、納める所得税を減らせることです。被扶養者の年齢や同居の有無に応じて定められている控除額分だけ課税所得を減らせるため、納める所得税を少なくできます。
 
一方、社会保険上のメリットとは、被扶養者である兄弟姉妹の健康保険料の負担がなくなることです。扶養に入れると、扶養者が加入している健康保険に被扶養者も加入している扱いとなり、被扶養者は健康保険料を払わずに健康保険の保障を受けられるようになります。扶養者は、一緒に加入している兄弟姉妹の人数分の保険料を上乗せで多くを支払う必要もありません。
 

兄弟姉妹を扶養に入れるための条件

兄弟姉妹を扶養に入れる場合の条件には税制上と社会保険上で異なる項目があるため確認しておきましょう。
 

・税制上の条件

扶養に入れるための条件は4つあり、1つ目として親族に関しては配偶者以外で6親等内の血族および3親等内の姻族であることが条件です。兄弟姉妹であれば6親等内の血族に当たるため問題なく該当します。
 
2つ目は納税者と生計を一にしていることです。別居している兄弟姉妹の場合には、仕送りなどをしていて扶養者と同じ財布からのお金で生活をしている事実が必要となります。
 
3つ目として被扶養者である兄弟姉妹の1年間の所得金額の合計が48万円以下(給与収入なら103万円以下)であることも条件です。扶養に入れる際には本人に所得を確認しておきましょう。
 
4つ目として扶養者が自営業などをしていて、兄弟姉妹が青色申告者の事業専従者として給与の支払を一切受けていない、あるいは白色申告者の事業専従者でないことも必須となります。
 

・社会保険上の条件

社会保険上の被扶養者とするためには、まず、生計を共にしていることは必須です。兄弟姉妹は配偶者や子どもなどの一定の親族とともに別居でも扶養できる対象として認められています。そのため、税制上と同じく、仕送りなどをしていれば別居している兄弟姉妹でも扶養に入れることは可能です。
 
一方、社会保険上の扶養の場合、税制上の扶養とは異なり、被扶養者の年齢も条件に挙げられています。被扶養者は75歳未満でなければなりません。75歳以上になると後期高齢者医療制度に移行し、被扶養者自身が後期高齢者医療制度に加入する必要があるからです。
 
さらに、被扶養者の収入は年間130万円未満、被扶養者が60歳以上であったり障害者であったりする場合には180万円未満でなければなりません。さらに、被扶養者の年収は扶養者の2分の1未満で、別居している場合には援助している金額が被扶養者の年収より少ないことも条件です。
 

別居している兄弟姉妹でも扶養に入れられる!援助が必要なら検討を

兄弟姉妹を扶養に入れるためにはいくつかの条件を満たしていることが必要ですが、扶養に入れると扶養に入れるほうにも入るほうにもメリットがありお得です。
 
別居でも仕送りをしているなど援助している事実さえあれば扶養に入れることはできるため、援助が必要な兄弟姉妹がいる場合には、ほかの条件を満たしているか確認して、扶養に入れることも検討してみるとよいでしょう。
 

出典

国税庁 No.1180 扶養控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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