【どちらがお得?】「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」の違いとは? 特徴と計算方法を解説

配信日: 2022.05.26

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【どちらがお得?】「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」の違いとは? 特徴と計算方法を解説
支払った医療費によって、税金の所得控除が受けられる医療費控除と、セルフメディケーション税制。
 
いずれの制度も、納税額を算出するための課税所得を減らすことができる制度ですが、適用範囲や計算方法の違いをご存知でしょうか。制度の特徴を押さえれば、よりお得に使い分けることができます。
 
本記事では、医療費控除とセルフメディケーション税制の違いと計算方法について解説します。
東本隼之

執筆者:東本隼之(ひがしもと としゆき)

AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

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医療費控除とセルフメディケーション税制の違い

医療費控除とセルフメディケーション税制は、適用される医療費の範囲が異なります。しかし、まったく別の制度ではなく、セルフメディケーション税制は医療費控除の特例として、扱われています。
 
セルフメディケーション税制は2017年に、「健康の維持増進・疾病の予防」の取り組みとして導入されました。なお、医療費控除とセルフメディケーション税制の適用を受けるためには、確定申告が必要です。適用の際にはどちらの控除を受けるか、自身で判断することとなります。
 

医療費控除の適用範囲

医療費控除が適用される範囲は「納税者本人と、生計を共にする配偶者または親族が、その年の1月1日から12月31日に支払った医療費」です。医療費控除が適用される主な医療費は以下の通りです。

1.医師や歯科医師による診療・治療費用
2.医師の指示によって購入した医薬品費用
3.医師の送迎や自身の通院費用
4.入院費用(部屋代と食事代も含む)
5.義手や松葉杖などの治療に必要な医療器具購入費用
6.助産師による分娩介助費用
7.介護保険の対象となる介護費用

 

セルフメディケーション税制の適用範囲

セルフメディケーション税制の対象となるのは、健康の増進や病気予防のために一定の取り組みをしている人と、生計を共にする配偶者や親族です。適用範囲は、その年の1月1日から12月31日に購入した対象医療品の費用です。適用を受けるための取り組みとして、以下のものが挙げられます。

1.健康保険組合や自治体、勤務先などが実施する健康診断(人間ドック・健康診査)
2.定期接種やインフルエンザなどの予防接種
3.特定健康診査や特定保健指導
4.自治体が実施するがん検診

なお、対象となる医薬品は医療から転用されたものに限られ、風邪薬や胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫用薬、貼付薬などが挙げられます。これらの、薬局やドラッグストアで購入できる医薬品をOTC医薬品といいます。ただし、全ての医薬品が対象となるわけではありません。
 

医療費控除とセルフメディケーション税制の計算方法

医療費控除とセルフメディケーション税制では、所得控除額の計算方法が異なります。それぞれの計算方法を把握しておきましょう。
 

医療費控除の場合

医療費控除は、以下の計算方法で算出します。
 
支払った医療費の合計 - 生命保険等で補填された金額 - 10万円 = 所得控除額
 
医療費控除の限度額は、年間200万円です。なお、支払った医療費の領収書は5年間の保存義務があるので、廃棄しないように注意しましょう。
 

セルフメディケーション税制の場合

セルフメディケーション税制は、以下の計算方法で算出します。
 
購入した対象医療品費の合計 - 1万2000円 = 所得控除額
 
セルフメディケーション税制の限度額は、年間8万8000円です。購入した際の領収書は、医療費控除と同様に5年間の保存義務があります。
 

医療に関わる支出は控除を活用しよう

医療費控除とセルフメディケーション税制は、支払った医療費で税負担を軽減できる便利な制度です。しかし、節税目的で医療を受けたり、過剰な治療を受けたりすることは、治療を受けるべき人が受けられなくなってしまうため、絶対にしてはいけません。
 
自身に必要な医療を受けた際は、医療費控除とセルフメディケーション税制を活用しましょう。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 No.1132 セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費
厚生労働省 セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
 
執筆者:東本隼之
2級FP技能士

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