更新日: 2022.05.27 その他税金

【払いすぎてる場合も…】「登記費用」の内容がケースによって違うのはご存じですか?

執筆者 : 八木友之

【払いすぎてる場合も…】「登記費用」の内容がケースによって違うのはご存じですか?
建物を新築したとき、相続のときなどケースが違うにもかかわらず、登記費用という同じ名目の費用がかかります。しかし、登記費用という名称は同じでも、登記する内容はそれぞれ違う上に、費用の算出方法も違います。登記を代理する法律家から登記費用を請求されても、内訳が違うことを知らなければ、疑うことなく費用を支払ってしまう危険性があります。
 
本稿では、登記費用の内訳について、それぞれどのような費用の算出方法を行っているのか、代表的な2つの登記費用の内訳を紹介します。
八木友之

執筆者:八木友之(やぎ ともゆき)

宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

建物を新築したときの登記費用

建物を新築したときは、2種類の登記を行います。それぞれ、まったく内容が違う登記のため、2種類の登記費用について分けて紹介します。
 

建物表題登記

建物表題登記とは、建物新築時に建物の所在・面積・構造などを登記簿に掲載するために行う登記です。建物を新築した人は、建物完成から1ヶ月以内に登記する必要があります。
 
建物表題登記を代理して行うのは、土地家屋調査士です。土地家屋調査士に代理してもらう場合、新築一戸建てで木造2階建て100平方メートル前後の場合、おおよそ10万円の費用がかかります。主に建物の延べ面積や階数により費用が変動します。
 

所有権保存登記

建物を新築した場合にはもう1種類、所有権保存登記を行う必要があります。所有権保存登記とは、初めて所有権を設定する場合に必要な登記です。所有権の設定が2回目以降になると所有権移転登記という登記に変わります。
 
所有権保存登記を行うには、登録免許税が課税されます。
登録免許税 = 不動産の価額 × 0.4%
という計算式を使い算出します。
 
なお、不動産の価額とは建築金額ではなく、固定資産の評価額のことです。また、計算式は軽減税率を適用していない場合の計算式です。
 
所有権保存登記を代理して行うのは、主に司法書士です。司法書士に代理してもらう場合、登録免許税プラス司法書士への報酬が、所有権保存登記の登記費用となります。
 

相続をしたときの登記費用

相続を受け、不動産の所有権移転をする場合の登記費用は、相続登記をするための準備費用と相続による所有権移転登記です。
 

相続登記をするための準備費用

相続登記を行うためには、遺産分割協議書の作成が必要です。遺産分割協議書とは、相続財産をどの相続人が相続するか、相続人全員で取り決めした書類です。遺産分割協議書作成は、弁護士、司法書士、行政書士、税理士に代理してもらうことができます。費用はどの法律家に依頼するかによって変わってきます。
 
一般的には司法書士への代理が多く、遺産分割協議書作成費用と作成するための調査費用を合計すると10万円以上かかります。相続人が多く全国各地にいる、相続不動産が多い、などの場合はその分費用が増えます。
 

相続による所有権移転登記

相続による所有権移転登記を行う場合は、登録免許税が課税されます。
登録免許税 = 不動産の価額 × 0.4%
という計算で算出します。
 
このように、相続の場合の登記費用は、遺産分割協議書作成費用、登録免許税、代理人がいる場合は代理人報酬を足した合計額となります。
 

まとめ

登記費用には、その他も売買による所有権移転登記、抵当権設定登記、建物滅失登記などがあります。名称は全て同じ「登記費用」ですが、内容と金額は全く違います。金額と内容に違いがあることを認識し、登記費用を支払う場合は内訳までしっかりと目を通すことをおすすめします。
 
「登記費用」とひとくくりにして請求してきている場合は、相場より高額な請求をされているケースもあります。内容を理解した上で、適切な相場で代理を行ってくれる法律家を探しましょう。
 

出典

佐賀県土地家屋調査士会 建物の表示登記とは
国税庁 No.7191 登録免許税の税額表
 
執筆者:八木友之
宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

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