【相続登記義務化】隠れた「もう一つの登記義務化」とは

配信日: 2022.05.29

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【相続登記義務化】隠れた「もう一つの登記義務化」とは
2024年4月1日より相続登記が義務化されます。施行開始日は、公布後5年以内の政令で定める日とされており、現段階では未定です。しかし、施行開始日は未定だとしても義務化は決定されていますので、いずれにしても相続登記の義務化は始まります。
 
このことはニュースにもなり、ご存じの方も多いでしょう。しかし、相続以外でも登記の義務化が施行されます。
 
本稿では、そのもう一つの登記の義務化について解説します。
八木友之

執筆者:八木友之(やぎ ともゆき)

宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

相続登記以外の登記の義務化とは

相続登記以外の登記の義務化とは、住所・氏名の変更登記のことです。住所・氏名変更登記が義務化される理由は、全国の土地所有者不明率の高さです。
 
国土交通省の調査によると全国の所有者不明率は20.3%、所有者不明の土地を合計すると410万ヘクタールに相当します。ちなみに、九州の面積合計は368万ヘクタールですから、いかに多くの土地が所有者不明となっているかお分かりいただけるでしょう。この所有者不明率を解消するために、住所・氏名変更登記の義務化もされることとなり、2026年4月ごろに施行される予定です。
 

登記を怠った場合の罰則追加

持ち家である自宅から引っ越す場合や、持ち家の方の氏名が変更になった場合は住所・氏名変更登記を行わなければいけません。しかし、住所・氏名変更登記は、現在、登記をしないことによる罰則規定がなく、多くの人が登記を行っていません。
 
このことを鑑みて、義務化した後、住所・氏名が変更になってから2年以内に、正当な理由なく住所・氏名変更登記を行わなかったときには、5万円以下の過料(罰金)が科されます。
 

相続登記と同じく遡及適用がある

相続登記と同じく、住所・氏名変更登記にも罰則の遡及適用が明記されています。
 
つまり、住所・氏名変更登記の義務化が開始された場合、開始された日より前に住所・氏名変更登記を行っていなかったときにも罰則が科されるというものです。これには猶予措置があり、義務化の施行開始日から2年以内に住所・氏名変更登記を行えば罰則を受けることはありません。
 

義務化による環境整備

住所・氏名変更登記の義務化により、登記簿上の住所を最新の状態にしておくためのさまざまな制度や方策が開始される予定です。主な制度や方策を紹介します。

●登記申請のときに、氏名・住所のほか、生年月日などの検索用情報の提供が必要になる。
●登記官が、検索用情報などを用い、住民基本台帳ネットワークシステムに対して照会し、所有権の登記名義人の氏名・住所などの異動情報の取得が可能になる。
●取得した情報に基づき、登記官が職権で変更の登記をすることができるようになる。
●所有権の登記名義人が国内に住所を持っていないときは、その国内における連絡先となる者の氏名または名称および住所、その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるものが登記事項になる。

これらが整備される予定ですが、現時点では不透明です。
 

まとめ

住所・氏名変更登記は、司法書士へ依頼すると、登記1件につき2万円前後で代行してくれます。住所・氏名変更登記義務化の施行開始日はまだ先ですが、もし登記していないのであれば、事前に登記を完了させるようにしておきましょう。
 

出典

国土交通省 所有者不明土地の実態把握の状況について
法務省民事局 令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント
 
執筆者:八木友之
宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

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