更新日: 2022.06.21 その他税金

【節税対策】会社員でも使える「6つの所得控除」とは?

執筆者 : 荒木和音

【節税対策】会社員でも使える「6つの所得控除」とは?
「節税対策」と聞きますと、会社経営者や個人事業主を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。「会社員でもできる節税対策はないだろうか?」そんなときに活用できるのが「所得控除」です。
 
本記事では会社員でも利用できる所得控除の中でも、多くの人が対象となる控除について、その控除の要件や控除額などを解説します。
荒木和音

執筆者:荒木和音(あらき かずね)

2級ファイナンシャルプランニング技能士

会社員の節税対策とは?

会社員が支払う税金は主に所得税と住民税の2種類です。
 
所得税は、1年間に得た収入から経費や各種控除を差し引いた「所得金額」に対して、その金額に応じた一定の税率を乗じることにより、納税額が決まります。一方、住民税は所得金額の10%分の税額(所得割)に全員一律の税額(均等割)を加えた金額を納税します。つまり、どちらも所得金額がいくらになるかによって、納税額が変わるのです。
 
会社員の場合は、所得金額をなるべく減らすことが節税対策になります。そのためには「所得控除」を活用することが重要です。
 

会社員が節税対策に利用できる6つの所得控除

会社員が効果的に節税対策を行うために、知っておきたい控除の種類を解説します。ここで紹介するのは、原則として家族構成にかかわらず利用できる控除のみです。
なお、「基礎控除」については、合計所得金額が2500万円以下であれば誰でも適用されます。
 

生命保険料控除

生命保険、医療保険やがん保険、個人年金保険などを個人で加入している場合に、支払った保険料の金額に応じて、控除されます。新生命保険料控除、介護医療保険料控除、新個人年金保険料控除の3種類があり、それぞれ最大4万円、合算して12万円の控除を受けられる仕組みです。実際に控除される金額は図表1の通りです。
 
図表1

出典:国税庁 「タックスアンサー(よくある税の質問)No.1140生命保険料控除」
 
なお、2011年12月31日以前に加入した保険契約に係る保険料については、控除の取り扱いが異なります。詳しくは国税庁のHPをご確認ください。
 

地震保険料控除

地震保険に加入している場合に、支払った保険料に応じて控除が受けられる仕組みです。2006年12月31日以前に加入した地震保険以外の一部損害保険については控除の対象となっています。実際に控除される金額は図表2の通りです。
 
図表2

出典:国税庁 「タックスアンサー(よくある税の質問) No.1145地震保険料控除」
 
なお、1つの契約が地震保険料控除と旧長期損害保険料控除の両方に該当する場合には、地震保険料と旧長期損害保険料いずれか一方の控除を受けることになります。
 

寄付金控除

国や地方公共団体、特定公益増進法人に対して、一定の寄付をした場合に控除されます。自治体に寄付をする「ふるさと納税」は寄付金控除の対象です。次のうちいずれか低い金額から2000円を差し引いた金額が、控除される金額となります。
 

●その年に支出した特定寄付金の額の合計額
●その年の総所得金額等の40パーセント相当額

 

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済や企業型確定拠出年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)などの掛け金を支払った場合に適用されます。掛け金全額が控除の対象です。
 

特定支出控除

給与所得者が、一定額を超えて通勤や勤務に必要な支出を行った際には、その超えた分について控除を受けられるのが「特定支出控除」です。一定額とは「給与所得控除額の2分の1」を指します。
 
支出として認められているのは、次に挙げるような費用です。ただし、実際に控除を受ける場合には、これらの支出について事業主の証明が必要となります。
 

●通勤費
●転居費
●研修費
●資格取得費
●図書費
●交際費

 

医療費控除

1年間に支払った医療費の合計が10万円(総所得金額が20万円未満の人はその5%の額)を超えたときに、超えた分が最高200万円まで控除されます。生計を一にする家族がいる場合には、医療費の合算も可能です。
 
ただし、生命保険の給付金や、公的医療保険制度で支給される高額療養費などを差し引いた医療費が控除の対象となります。
 
また医療費控除の代わりに「セルフメディケーション税制」を利用することもできます。1年間の医薬品の購入費用として使った金額が1万2000円を超えたときに、超えた分が最大8万8000円まで控除される仕組みです。
 

所得控除をうまく活用して手取り額を増やそう

会社経営者や個人事業主と異なり、会社員ができる節税対策は限られています。しかし、所得控除を利用すれば、手取り額を増やすことも可能です。
 
ただし、寄付金控除や特定支出控除、医療費控除などを受ける場合には、年末調整を行う会社員であっても確定申告が必要となるため、控除証明書等の準備をしておきましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)
総務省 個人住民税
総務省 よくわかる!ふるさと納税
国民年金基金連合会 iDeCo(イデコ)の特徴
 
執筆者:荒木和音
2級ファイナンシャルプランニング技能士

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