更新日: 2022.07.07 その他税金
ボーナスには税金がどれくらいかかる? 主に控除されるものと手取りの計算方法
本記事では、ボーナスから控除される所得税・復興特別所得税、社会保険料の計算方法を解説し、ボーナスの手取り額の計算例を紹介します。ぜひ参考にして、自分のボーナスはどのくらいの手取り額が見込めるか試算してみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
ボーナスにかかる所得税の計算方法
ボーナスから控除されるものとして、所得税・復興特別所得税があります。
ボーナスにかかる所得税・復興特別所得税の計算には、国税庁が公開している「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用います。基本の計算手順は次のとおりです。
1.前月の給与から社会保険料等を差し引く
例)前月の給与が40万円、社会保険料が5万8000円の場合:40万円-5万8000円=34万2000円
2.「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄に上記1の金額、「扶養親族等の数」欄に扶養親族の数を当てはめて、税率(賞与の金額に乗ずべき率)を求める
(「給与所得者の扶養控除等申告書」提出済みなら甲欄、未提出なら乙欄を参照)
例)甲欄の場合:「扶養親族等の数」1人、「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」338千円以上365千円未満に該当するため、税率は8.168%。
3.賞与から社会保険料を差し引いた金額に上記2の税率を乗じてボーナスにかかる所得税・復興特別所得税を求める
例)賞与が100万円、社会保険料が14万4000円の場合:(100万円-14万4000円)×8.168%=6万9918円
ボーナスにかかる所得税・復興特別所得税の税率は、前月の給与が多いほど高く、また同じ給与額なら扶養親族が多いほど低くなるように設定されています。
なお、ボーナスから社会保険料を差し引いた金額が、前月の給与から社会保険料を差し引いた金額の10倍を超える場合は、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を用いて次の手順で税額を計算します。
1.賞与から社会保険料を差し引いた金額を6で割る
例)ボーナスが350万円、社会保険料が50万4000円の場合:(350万円-50万4000円)÷6=49万9333円
2.1の金額に前月の給与から社会保険料を差し引いた金額を足す
例)前月の給与から社会保険料を差し引いた金額が34万円の場合:49万9333円+34万円=83万9333円
3.2の金額を「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」で照会して税額を求める
例)扶養親族が1人の場合:780,000円を超え950,000円に満たない金額に該当するため、7万5090円+(83万9333円-78万円)×23.483%=8万9023円
4.3の金額から前月の給与に対する源泉徴収税額を引く
例)8万9023円-前月の給与に対する源泉徴収税額8370円=8万653円
5.4の金額を6倍する
例)8万653円×6=48万3918円
また、前月に給与の支払いがない場合の計算手順は次のとおりです。
1.賞与から社会保険料を差し引いた金額を6で割る
例)賞与が100万円、社会保険料が14万4000円の場合:(100万円-14万4000円)÷6=14万2666円
2.1の金額を「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」で照会して税額を求める
例)扶養親族が1人の場合:141,000円以上143,000円未満に該当するため1110円
3.2の金額を6倍する
例)1110円×6=6660円
ボーナスから控除される社会保険料の計算方法
もうひとつボーナスから控除されるのは社会保険料(健康保険料・介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)です。ボーナス支給時の社会保険料は、それぞれ次の方法で計算します。
・健康保険料・介護保険料、厚生年金保険料:標準賞与額(賞与額から1000円未満を切り捨てた額※)×保険料率
※金額の上限あり(健康保険:年度の累計額573万円、厚生年金保険:1ヶ月あたり150万円)
・雇用保険料:賞与総額×保険料率
ボーナス額に対する手取り額の計算例
ボーナスから控除される所得税・復興特別所得税、社会保険料の計算方法に以下の条件を当てはめて、ボーナス額に対するおおよその手取り額を試算してみましょう。
・ボーナス総額:60万円
・前月の給与:30万円
・年齢:40代
・給与所得者の扶養控除等申告書:提出済み
・扶養親族:配偶者と子ども2人
1.前月の給与30万円-社会保険料4万6000円=25万4000円
2.「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の甲欄に1の金額:25万4000円、扶養親族等の数:3人を当てはめると、税率は2.042%
3.(賞与60万円-社会保険料9万1000円)×税率2.042%=1万393円
1.前月の給与30万円-社会保険料4万6000円=25万4000円
2.「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の甲欄に1の金額:25万4000円、扶養親族等の数:3人を当てはめると、税率は2.042%
3.(賞与60万円-社会保険料9万1000円)×税率2.042%=1万393円
社会保険料=健康保険料・介護保険料3万4350円+厚生年金保険料5万4900円+雇用保険料2100円=9万1350円
ボーナス総額60万円から所得税・復興特別所得税1万393円、社会保険料9万1350円を控除した約49万8000円が、このケースにおけるボーナスの手取り額です。
ボーナスの手取りの割合は前月の給与や扶養親族の数で変わる
ボーナスからは主に、所得税・復興特別所得税と社会保険料が控除されます。社会保険料はボーナスの額面に対して一定の割合です。
一方、所得税・復興特別所得税の税率は、前月の給与が多いほど高く、同じ給与なら扶養親族が多いほど低く設定されています。そのため、ボーナスの金額が同じでも、手取り額は必ずしも同一ではないことに注意しましょう。
出典
国税庁 No.2523 賞与に対する源泉徴収
国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和4年分)
給与所得の源泉徴収税額表(日額表)(令和4年分)
全国健康保険協会 賞与支給時の健康保険料額の計算について 宮城支部
全国健康保険協会 標準報酬月額・標準賞与額とは?
全国健康保険協会 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部