更新日: 2022.07.08 その他税金
住民税の徴収額は毎年6月から変わるって本当? 税率や計算方法についてもチェック
そこで本記事では、住民税の徴収のサイクルや税額の計算方法についてまとめるとともに、税額の計算例も紹介します。税額の変化に慌てなくてすむよう、住民税の基本的な仕組みを知っておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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住民税の納付は6月スタート
住民税は、前年(1月1日~12月31日)の所得金額などをもとに計算した税額を、6月~翌年5月にかけて分割で納税する仕組みです。毎年6月から新しい年度分の納税がスタートするため、徴収額も6月から変わります。
また、住民税は年間の納税額を、普通徴収の場合は4回、給与から天引きされる特別徴収の場合は12回に割って徴収されます。初回納付月である6月分には、その分割で出た端数が加算されるため、徴収額が同年度のほかの納付月と比べて端数分高くなるのが一般的です。
住民税の税率と計算方法
住民税は、所得金額に一律の税率を掛けて算出する「所得割」と定額で課税される「均等割」で構成されています。もし株式などの利益がある場合は、利子割・配当割・株式等譲渡所得割なども課税されます。
所得割の税額の基本的な計算方法は次のとおりです。
住民税所得割額=(前年中の総所得金額-所得控除)×税率10%-税額控除
前年中の総所得金額とは、収入が給与のみの人の場合、総支給額から給与所得控除を差し引いた金額を指します。個人事業主など収入が事業所得のみの人の総所得金額は、総収入金額から経費を差し引いた金額です。
主な所得控除には次のようなものがあります。
●基礎控除:最大43万円
●社会保険料控除:前年に支払った社会保険料の金額
●配偶者控除:最大33万円(70歳以上の配偶者は最大38万円)
●配偶者特別控除:最大33万円
●扶養控除:扶養親族の年齢により33~45万円
また、税額控除とは税額を掛けて算出した金額から条件に応じて一定額を差し引くものです。主な税額控除にふるさと納税や住宅ローン控除などがあります。
なお均等割の金額は、市町村民税3500円と道府県民税1500円の合計5000円と定められています(2023年度まで)。
住民税の計算例
住民税の算出方法に従って、おおよその住民税額を計算してみましょう。なお、以下はすべて概算であり、実際の税額とは異なります。
●東京都在住の40代
●年収500万円(給与のみ、ボーナスなし)
●無収入の配偶者と18歳の子がいる
●社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除以外の所得控除は考慮しないものとする
このケースの場合、所得割の計算のもとになる前年中の所得金額は、次のとおりです。
500万円-所得控除144万円=356万円
※所得控除額の計算については、国税庁のホームページで確認できます
また、このケースで差し引ける所得控除の金額はおおよそ次のように計算できます。
社会保険料控除75万円+配偶者控除33万円+扶養控除33万円+基礎控除43万円=184万円
※社会保険料控除額については、全国健康保険協会の「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」から参照
以上をもとに住民税を計算すると、年間の税額は次のとおりです。
(前年中の所得金額356万円-所得控除184万円)×税率10%+均等割5000円=17万7000円
17万7000円を12ヶ月で割ると1ヶ月あたり1万4750円となりますが、100円未満の端数は6月分にまとめて加算されるため、6月分の徴収額は1万5300円、以降は毎月1万4700円ずつの徴収となる計算です。
住民税は6月から新しい年度の納税が始まる
住民税は6月~翌年5月をひとつのサイクルとして徴収される税金です。6月には新しい年度の収入をもとに計算した税額に切り替わるため、多くの場合5月までとは税額が変わります。
また、年間の税額を分割した際に生じる100円未満の端数が6月徴収分に集約されるために、同年度のほかの月と比べて6月の徴収額は高いのが一般的です。
住民税は収入額をもとに個々の事情に応じた各種控除などを加味して計算する「所得割」と、定額の均等割で構成されています。税額の計算の仕組みを知っておくと、6月から徴収される税額の変化にも納得できるのではないでしょうか。
出典
東京都主税局 個人住民税
国分寺市 特別徴収
総務省 個人住民税
全国健康保険協会 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
厚生労働省 令和4年度の雇用保険料率について
国税庁 No.1410 給与所得控除
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部