更新日: 2022.08.03 その他税金

いまさら聞けない「医療費控除」を解説! 控除額は? 還付は受けられるの?

執筆者 : 宮本建一

いまさら聞けない「医療費控除」を解説! 控除額は? 還付は受けられるの?
医療費控除は、本人および本人と生活を共にしている家族がかかった医療費が一定額以上であれば所得税の控除を受けることが可能です。控除を受けるためには確定申告が必要です。医療費控除はいくらから受けられ、最大いくらなのか、準備する書類や確定申告はいつまでに行うべきなのかについて説明します。
宮本建一

執筆者:宮本建一()

2級ファイナンシャルプランニング技能士

医療費控除の申告方法について

医療費が1年間かかった金額によっては医療費控除を受けることが可能です。医療費控除の金額はどのように計算するのか、また、申告方法について説明します。
 

医療費控除とは? 医療費控除金額の計算方法

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に本人または本人と一緒に生活をしている家族がかかった医療費が一定額以上であれば確定申告することにより所得税の控除が受けられることをいいます。
 
医療費控除の金額は次の計算式で算出します。(医療費控除は最大200万円)
 
・総所得金額等が200万円以上の人
 
(1年間の医療費の合計-保険金などで補てんされる金額)-10万円
 
・総所得金額等が200万円未満の人
 
(1年間の医療費の合計-保険金などで補てんされる金額)-総所得金額等×5%
 
保険金などで補てんされる金額とは、例えば、生命保険契約などで支給される入院給付金や、健康保険などで支払われる出産育児一時金などを指します。
 
計算式で医療費合計から保険金などで差し引かれた金額が10万円を超える場合、または総所得金額等の5%を超える場合、医療費控除の対象となります。
 

医療費控除の申告方法

医療費控除の対象となることがわかると確定申告の準備です。
 
1. 確定申告書および医療費控除の明細書の作成
 
確定申告を行うにあたり、確定申告書および医療費控除の明細書を国税庁ホームページより入手します。作成に必要な書類は以下のとおりです。
 

・1年間の医療費の領収書
(医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合、医療費通知も可)
(5年間保存する必要があります)
・源泉徴収票

 
2. 税務署に確定申告書の提出
 
1.で作成した確定申告書および医療費控除の明細書を税務署へ提出します。提出方法は、自宅管轄の税務署に持参するか、e-Taxにて確定申告を行います。
 
注意点として、e-Taxにて確定申告の際、医療費控除の明細書は郵送します。給与所得があり、税務署に確定申告書を提出する場合は源泉徴収票が必要となりますので持参する必要があります。確定申告期間は通常、2月16日~3月15日です。
 
3.医療費控除により還付金が入金
 
還付金は確定申告からおよそ1~1ヶ月半後に、確定申告の際指定した金融機関の預金口座に入金されます。
 

控除対象になるもの、ならないもの

1年間に一定以上の医療費を支払っていれば確定申告することにより所得税が還付されるのですが、医療費であれば問題ないのでしょうか。控除対象となるもの、ならないものを表にしました。
 
表1. 医療費控除対象となるもの、ならないもの

控除対象になるものの具体例 控除対象にならないものの具体例
医療・入院・介護 ・診療費、治療費
・病院、診療所、介護施設に入院、入所費用
・鍼灸師、柔道整復師等による施術費用
・保健師、看護師、准看護師など療養上にかかる費用(家政婦さんに病人の付添いを頼んだ場合の療養上の費用も含む)
・介護福祉士等による一定の喀痰吸引および経管栄養の対価
・介護保険等制度で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
・通院の際の交通費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用
・コルセットなどの医療用器具等の購入費用や賃借費用
・医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯、眼鏡などの購入費用
・傷病によりおおむね6ヶ月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代
(注:医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要)
・健康診断費用
・医師等に対する謝礼
・施術のうち疲れを癒やしたり、体調を整える等治療に直接関係のないもの
・所定の料金以外の心付けなど
・家族や親類縁者に付き添いを頼んで付添料の名目など
・自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等
歯科 ・金やポーセレンを使った治療
・歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用
・歯科ローンの借入金
・一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なもの
・容ぼうを美化するための歯列矯正
・歯科ローンに係る金利および手数料
妊娠・出産 ・妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、通院費用
(注:通院費用など領収書のないものは記録し実際にかかった費用について明確に説明できるようにしておく必要があります)
・入院の際に、電車、バスなどの通常の交通手段によることが困難なため、タクシーを利用した場合、そのタクシー代
・病院に対して支払う入院中の食事代
・実家で出産するための帰省にかかる交通費
・入院に際し、寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用
・他から出前を取ったり外食したりした費用
薬代 ・治療または療養に必要な医薬品の購入の対価
(例:風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金)
・ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金

出典: 国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費 より筆者作成
 

まとめ

医療費控除は確定申告しないと還付を受けることができません。医療費の出費が大きい場合、また、一部ローンにも適用されるため、医療費控除を申告することをぜひおすすめします。所得税の一部が還付されるケースもありますので上手に活用したいものです。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費

国税庁 No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例

国税庁 No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例

国税庁 年分 医療費控除の明細書【内訳書】
国税庁 令和3年分 確定申告特集 医療費控除を受ける方へ

郡上市 医療費を多く払った場合、税金が戻ってくると聞いたのですが

 
執筆者:宮本建一
2級ファイナンシャルプランニング技能士

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