更新日: 2022.08.23 その他税金

意外と知らない「個人事業税」。かかる人とかからない人の違いは?

意外と知らない「個人事業税」。かかる人とかからない人の違いは?
自営業やフリーランスなど個人で事業を行っている人(個人事業主)は、自分で税額を計算して申告・納税する必要があります。
 
所得税、住民税、消費税のほか、なかには「個人事業税」がかかる場合もあるので要注意です。個人事業税は、会社員だと意識する機会がないのでなじみが薄いかもしれませんが、今後独立予定(もしくはすでに独立済み)の人は、ぜひ押さえておきたい税金です。
 
どんな場合に、いくらかかるのか解説します。
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

https://babaeri.com/

「個人事業税」とは?

個人事業税は、個人で事業を行っている人が都道府県に対して納めるもので、「地方税」の一種です。法人が納める「法人事業税」の個人版ともいえます。
 
個人事業税がかかるのは、特定の業種かつ一定の所得がある人です。税率は業種によって違い、3~5%の範囲で設定されています(業種については後述します)。
 
具体的な計算方法は、以下のとおりです。

納税額={事業所得・不動産所得の金額+所得税の事業専従者給与(控除)額-個人事業税の事業専従者給与(控除)額+青色申告特別控除額-損失の繰越等の控除額-事業主控除額}×3~5%の税率

少々ややこしくみえますが、ざっくりと「売上-必要経費-290万円」に対して個人事業税が課税されると考えておきましょう。この290万円は、1年ずっと事業を行っていた場合の「事業主控除」の金額です。年の途中で事業を開始した場合は、月割りで計算します。
 

個人事業税がかかる業種、かからない業種

個人事業税がかかる業種とその税率は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

図表1

 
(出典:東京都主税局 個人事業税)
 
個人事業主が提出する確定申告書には、業種を記入する欄(申請書類上は「職業」欄)があります。そこに本人が記入した内容をもとにして、税率が決まります。開業届にも同様の欄がありますよ。
 
例えばカフェを経営しているなら、「飲食店業」なので税率5%、漁師をしているなら「水産業」なので4%です。上表に記載がない業種なら、個人事業税がかかりません。例えば農業、執筆業、スポーツ選手、プログラマーなどは非課税で済むことが多いです。
 
「自分が課税される業種なのかわからない」「複数の事業を行っていて判断に迷う」といった場合は、都道府県税事務所に問い合わせて確認するのが確実です。
 

個人事業税を安くする方法はある?

個人事業税は、特定の業種以外は非課税です。確定申告書に記載する業種は、なんとなく決めるのではなく、個人事業税を念頭に置いて慎重に決めましょう。もちろんウソはいけません。
 
また、所得が少なければ税額も少なくて済むので、経費を漏れなく計上する、過去3年以内に赤字(損失)が出ている場合は忘れずに繰り越す、といった点にも気を付けましょう。
 
そのほか、特別な事情がある場合には「減免」の対象になる可能性もあります。例えば自分、もしくは家族が障害者だったり、高額な医療費を支払ったり、災害に遭ったり、盗難や横領などの被害に巻き込まれたりしたときなどです。自治体によって多少異なるため、都道府県税事務所で確認してみましょう。該当する場合は「個人事業税減免申請書」を提出します。
 
個人事業税の納付は、自治体によっては、スマホ決済やクレジットカード払いに対応している場合もあります。税金が安くなるわけではありませんが、うまく利用すればポイントが貯まる分、お得です(※手数料が発生することもあるので注意しましょう)。
 

個人事業税はどうやって申告する?

個人事業税は、確定申告さえしていれば別途手続きは必要ありません。
 
都道府県にもよりますが、8月と11月ごろに納税通知書が郵送されてきますので、それを使って納付を済ませましょう。納付した個人事業税は経費として処理できます。
 
確定申告も住民税の申告もしていない場合は、3月15日まで(確定申告と同じ期限)までに都道府県事務所に「事業税申告書」を提出します。事業税申告書は都道府県の公式サイトなどでダウンロードできます。
 

まとめ

自営業やフリーランスとして働く場合、税金に関する知識は欠かせません。
 
個人事業税は、課税される人もされない人もいます。よく分からない場合は、都道府県税事務所や税理士に確認するなどして、正しく漏れなく申告・納税するようにしましょう。
 

出典

総務省 個人事業税
東京都主税局 個人事業税減免申請書
大阪府 事業税申告書
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表

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