更新日: 2022.08.29 その他税金

「排気量2000ccクラス」の車の税金はどれくらい? エコカー減税対象車は節約できる?

執筆者 : 小山英斗

「排気量2000ccクラス」の車の税金はどれくらい? エコカー減税対象車は節約できる?
車には思いのほか、多くの税金がかかっています。
 
これから車の購入を検討している人だけでなく、すでに所有している人も、車の所有にかかる税金についてあらためて確認していきましょう。
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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車にかかる税金にはどんなものがある?

車の購入時や所有にかかる税金は、2019(令和元)年度の税制改正で2つの大きな変更が行われ、現在は4種類の税金があります。
 
まずは、それぞれの税金について内容を確認しましょう。
 

自動車税(種別割)と軽自動車税(種別割)

2019年10月1日以降、大きく変更があった1つが「自動車税」です。
 
自動車税は、毎年4月1日時点での車検証上の車の所有者に対し、排気量に応じて毎年課税されるものですが、2019年の税制改正による主な変更点は以下の2つです。

〇名称変更
自動車税→自動車税(種別割)、軽自動車税→軽自動車税(種別割)
 
〇税率の引き下げ
2019年10月以降に購入(初回新規登録)する自家用乗用車の税率引き下げ
※軽自動車税(種別割)の税率は変更なし

以下のグラフは、排気量ごとの税率を2019年10月の引き下げ実施前後で比較したものですが、排気量2000cc以下では、その減税額が大きくなっていることが分かります。
 
【図表1】

図表1

 
出典:経済産業省 「大きく変わった、クルマの税。」
 
なお、2019年9月までに購入した車については、改正前の税額(上記グラフ内の黒字で記載された金額)で引き続き課税されます。
 

自動車税環境性能割

2019年に変更があったもう1つの税金が「自動車税環境性能割」です。これは、従来の「自動車取得税」が廃止となった代わりに導入されたものです。
 
自動車税環境性能割は車の購入時にかかる税金で、新車だけでなく中古車も対象となります。名称のとおり、購入する車の環境性能によって税率が異なってくるのが特徴です。導入後、新型コロナウイルスによる景気低迷への対策などで税率の臨時的軽減措置が取られていましたが、2021年12月末時点で軽減措置は終了しています。
 
税率については、例えば電気自動車、プラグインハイブリッド(PHEV)自動車などは非課税ですが、ガソリン車・ディーゼル自動車(ハイブリッド自動車含む)などは、自家用乗用車の燃費性能などに応じて非課税、もしくは1%~3%(自家用軽自動車の場合は1%~2%)となっています。
 
税額は、取得価格(自動車に付加して一体となっているオーディオやエアコンなどを含む)に対して税率を掛けた金額になります。
 

自動車重量税

自動車重量税は、車の重量と新車からの経過年数に応じて課税される税金で、車の新規登録時に原則3年分、車検の際に2年分をまとめて支払います。
 
税額は自家用乗用車の場合、車の重量0.5トンごとに増加しますが、軽自動車は重量にかかわらず定額となっています。また、新規登録から13年以上もしくは18年以上経過している車は、さらに税額が増えます。
 
なお、対象車の環境性能によっては後述するエコカー減税により、免税や軽減措置があります。
 
【図表2 新規登録時の自動車重量税額表】
・自家用乗用車

図表2-1

 
・自家用軽自動車
図表2-2

※国土交通省 「自動車重量税額について」より筆者作成
 
【図表3 車検時の自動車重量税額表】
・自家用乗用車
図表3-1

 
・自家用軽自動車
図表3-2

 
※国土交通省 「自動車重量税額について」より筆者作成
 

消費税

物品の購入やサービスの提供を受けるとき、消費税率10%の消費税がかかってきます。
 
車を購入する際は車両本体のほか、カーナビなどの付属品も課税対象ですが、福祉車両などは非課税になる場合があります。
 

2000ccクラスの車にかかる税金はどのくらい?

ここまで車にかかる税金について見てきましたが、実際にどれくらいの税金がかかるか、2000ccクラスの自家用乗用車を新車で購入した場合を例にシミュレーションしてみます。

モデル車:排気量2000cc、エコカー以外、重量1.8トン、税抜取得価格300万円(車両本体、付属品含む)

【図表4 購入時にかかる税金】

自動車税(種別割) 3万6000円
自動車税環境性能割 3万円 ※税率1%として
自動車重量税 4万9200円
消費税 30万円
合計 41万5200円

※筆者作成
 
上記はあくまで一例ですが、購入時にかかる税金としては消費税が大きな割合を占めていることが分かります。
 
ただし、2000ccクラスの車でも車種によって車両本体価格は大きく変わってくるため、消費税もそれに伴い税額が異なってきます。
 

車の税金に対する軽減制度

車にかかる税金のうち、一部については環境性能(排出ガス性能および燃費性能)に応じた軽減制度があります。
 

エコカー減税とは

エコカー減税は、車の環境性能に応じて自動車重量税を免除、もしくは軽減する制度です。
 
適用対象車が電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車(2018年排出ガス規制適合)、プラグインハイブリッド自動車であれば、一定の要件を満たす場合には全額免除となります。また、要件を満たしているクリーンディーゼル乗用車についても同様です。
 
【図表5】

対象となる税金 適用期間 軽減内容
自動車重量税 2021年5月1日~2023年4月30日までに新車新規登録等、および最初の車検を受ける場合 全額免除

※国土交通省 「自動車関係税制について(エコカー減税、グリーン化特例 等)」より筆者作成
 
ハイブリッド自動車やガソリン車(2018年排出ガス規制50%低減)の場合、2030年度燃費基準が60%以上を達成していれば、その達成度合いに応じて全額免除、50%軽減、25%軽減といった措置が適用されます。
 

グリーン化特例とは

エコカー減税のほかにも、税金の軽減措置が受けられる制度として「グリーン化特例」があります。
 
グリーン化特例は自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)について、以下のような軽減措置が適用されます。
 
【図表6】

対象となる税金 適用期間 軽減内容
自動車税(種別割)・
軽自動車税(種別割)
2023年3月31日までに新車を取得する場合(当該年度の翌年度分について適用) 概ね75%減税

※国土交通省 「自動車関係税制について(エコカー減税、グリーン化特例 等)」より筆者作成
 
自動車税(種別割)は電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車、軽自動車税(種別割)の場合は電気自動車、天然ガス自動車がグリーン化特例の適用対象です。
 

エコカー減税対象車は節約できる?

税制面で優遇されるエコカー減税やグリーン化特例ですが、対象車を購入することで、どのくらいの節約につながるのでしょうか?
 
前述の一例と同じく2000ccクラスのモデル車でシミュレーションした自動車税(種別割)と自動車重量税は、合わせて8万5200円でした。対象の次世代自動車を購入した場合、自動車重量税は免除、自動車税(種別割)はおよそ9000円で済むので、7万6000円程度は税金が軽減されることになります。
 
ただし、税金の面では節約できますが、エコカー減税などの対象となる環境性能の高い車は、総じて本体価格が高い傾向にあります。初期費用だけを見た場合、税金が軽減される以上に車両本体が高額となることが考えられるため、単純に節約になるとは言い切れないでしょう。
 
エコカー減税やグリーン化特例が節約につながるかどうかは、車の購入後の乗り方にもよると思います。例えば普段からよく車を利用する人であれば、燃費性能が良ければ、それだけガソリン代などランニングコストの面では節約になることが考えられるので、車の購入を検討する場合、普段の生活での利用頻度なども考慮しましょう。
 

まとめ

車は購入時の初期費用だけでなく、所有している間も税金のほかにガソリン代や駐車場代、メンテナンス費用などのランニングコストが発生します。
 
趣味で所有する人は別として、車を移動手段の1つとして考えているのであれば、利用頻度によってはレンタカーやカーシェアリングの利用も検討するといいでしょう。
 

出典

経済産業省 大きく変わった、クルマの税。
東京都主税局 自動車税環境性能割
国土交通省 自動車重量税額について
国土交通省 自動車関係税制について(エコカー減税、グリーン化特例 等)
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)