更新日: 2022.09.13 その他税金

退職金の受け取り方で変わる所得税。一時金で受け取るのと年金で受け取るのでどう変わる?

退職金の受け取り方で変わる所得税。一時金で受け取るのと年金で受け取るのでどう変わる?
退職金を一時金で受け取るか、年金で受け取るか、受け取り方によって所得税はどのように異なるのか、確認してみましょう。
仁木康尋

執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)

日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。

一時金で受け取る場合

一時金として受け取る場合は「退職一時金」となり、所得の分類上は「退職所得」になります。退職所得は、原則として他の所得と分離して所得税額を計算します(分離課税)。
 

(1)退職所得の計算方法

退職所得の金額 = [ 収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額 ] × 1/2

確定拠出年金など他に退職所得に該当するものがあれば、合わせて計算します。個人が負担した保険料または掛け金がある場合には、その支給額から個人が負担した保険料または掛け金の金額を差し引いた残額を、退職所得の収入金額とします。
 

(2)退職所得控除額の計算方法

勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
勤続年数が20年以上の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

勤続年数が38年の方の場合の退職所得控除額を計算すると
800万円+70万円×(38年-20年)=2060万円
となります。
 

(3)税金の計算方法 (注:復興特別所得税2.1%は考慮していません)

退職所得金額に応じて税率が変わります。

図表1

 

(4)源泉徴収と確定申告

・退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出している方
退職時に勤務先から提出を求められますので、こちらを提出すると、上記の計算式に基づいて計算され、源泉徴収だけで所得税の課税関係が終了(分離課税)します。退職所得についての確定申告をする必要はありません。
 
・「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない方
仮に提出をしなかった場合は、一律20%の所得税が源泉徴収されます。この場合には確定申告で精算することがでます。
 

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年金で受け取る場合

年金で受け取る退職金は、他の公的年金も含めた年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。所得の分類上は「雑所得」です。
 
雑所得は、給与所得などの他の所得と合計して総所得金額を構成しますので、総所得金額を押し上げることになります。これにより、税金や社会保険料が高くなってしまうこともあります。
 

<公的年金等に関わる雑所得の金額の計算方法>

公的年金等に関わる雑所得の金額=(A)×(B)-(C)

図表2

 
(例)仮に2000万円の退職金を毎年220万円×10年間で受け取る場合(年利2%で計算)
 
< 65歳まで >
(A)220万円 ×(B)75% - (C)27万5000円  = 137万5000円
 
< 65歳から >  ※公的年金として別途200万円も受給開始したと仮定
(A)(220万円+200万円) × (B)85% - (C)68万5000円  = 288万5000円
 

まとめ

一時金として受け取れとれば、退職所得となり税制上の優遇措置があり税負担がかなり軽減されます。特に勤続年数が長いほど非課税額が大きくなります。
 
一方、年金で受け取る場合には、一定の利率で複利運用されますので、額面上の受取総額を増やすことは可能ですが、税制上の優遇措置がありません。
 
また、年金等の雑所得はパート・アルバイトなど他の収入と合計して総所得金額を計算しますので、所得税や住民税、国民健康保険料の負担が増える可能性があることも考慮しておきまよう。
 

出典

国税庁 別紙 退職所得の源泉徴収税額の速算表
国税庁 No.1500 雑所得
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

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