更新日: 2022.09.22 その他税金

会社員の副業にも影響あり!? インボイス制度の注意すべき点とは?

会社員の副業にも影響あり!? インボイス制度の注意すべき点とは?
2023年10月から導入されるインボイス制度。対象となるのは個人事業主だけではなく、副業をしている会社員も同様です。
 
インボイス制度に登録するのは強制ではないものの、課税事業者として登録をしておかなければ、副業を行ううえでも影響を受ける可能性があります。しかし、インボイス制度は施行前の新しい制度のため、詳細な内容についてよく理解をしていないという方も多いのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、国税庁の資料をもとに、副業をしている会社員も知っておくべきインボイス制度の注意点を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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インボイス制度とは?

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、2023年10月1日から導入される、新しい仕入税額控除の方式です。
 
インボイス制度では、適格請求書発行事業者として登録した売手側が買手側にインボイス(適格請求書)を発行できます。買手側は、インボイスを受け取ることで仕入金額にかかる消費税が仕入税額控除の対象となります。
 
インボイス制度では、インボイスの発行・保管を売手側・買手側に義務付けることで、仕入税額控除を行い、生産・流通などの各取引で税金が重複することを防ぎます。
 

インボイス制度の開始で副業を行う会社員が注意すべき点

インボイス制度は企業や個人事業主に適用される仕組みで、自分は会社員で副業だから関係ないと思っている方も注意が必要です。会社員の副業であっても、買手側が消費税の納税義務がある事業者の場合、インボイス制度の影響を受けてしまいます。
 
ここでは、インボイス制度の開始により、副業を行う会社員に起こりうる影響について解説します。
 

インボイスに未登録の場合、副業の依頼が途切れる可能性がある

インボイス制度の開始以降は、買手側となる事業者が課税仕入れの仕入税額控除を受けるためには、売手側の適格請求書発行事業者が発行するインボイスが必要となります。
 
例えば、買手側となる事業者が税込11万円の仕入れを起こし、消費者に税込33万円で販売した場合、仕入れ先がインボイスの適格請求書発行事業者かどうかで納税する消費税の額に以下のような差異が発生します。

・適格請求書発行事業者からの仕入れ:消費者から預かった消費税3万円のうち、仕入額に対する消費税1万円が仕入税額控除されるため、納税する消費税は2万円
 
・適格請求書発行事業者以外からの仕入れ:仕入額に対する消費税1万円を仕入税額控除できないため、消費者から預かった消費税3万円を納税する必要がある

よって、副業の取引先が消費税の納税義務のある法人の場合、適格請求書発行事業者として登録しておかなければ、買手側となる法人に納税の負担をかけてしまうため、副業の依頼が途切れてしまう可能性があります。

 

副業の手取り収入が減る可能性がある

インボイス制度の開始以降、法人からの副業の受注機会を失わないためには、適格請求書発行事業者に登録して課税事業者になる選択を迫られます。ただし、課税事業者になると消費税の申告・納税の必要が生じるため、それまで免税事業者として副業を行っていた方の場合、約1割の手取り収入が減る可能性があります。
 
もともと、課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下の事業者は消費税の納税義務が免除されています。会社員の副業の場合、ほとんどの方が年間の売上高1000万円以下であると考えられますので、課税事業主になるのは収入にも大きな影響があります。
 

インボイス制度の経過措置期間

インボイス制度では、令和5年10月の開始から、最大で6年間の経過措置期間が設けられます。
 
制度開始以降は、適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れでは、仕入税額控除を受けられません。ただし、経過措置期間中は仕入税額相当額の一定の割合を仕入税額として控除できます。
 
【図表1】

期間 割合
令和5年10月1日から令和8年9月30日まで 仕入税額相当額の80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日まで 仕入税額相当額の50%

出典:国税庁「消費税の仕入税控除の方式としてインボイス制度が開始されます」
 

制度開始前に情報を収集して検討しよう

インボイス制度は会社員の副業にも大きな影響を与える制度です。副業として法人から受注している場合、制度開始以降はインボイス発行事業者として登録しておかなければ、依頼が途切れてしまうリスクがあります。
 
一方、これまで免税事業者として副業を行っていた場合、課税事業者になると消費税分の手取り収入が減ってしまうデメリットがあることも知っておきましょう。
 
このように、適格請求書発行事業者として登録するべきかどうかは、副業の内容や規模、取引先によっても異なりますので、制度開始前に情報を収集して検討しましょう。
 

出典

国税庁 インボイス制度の概要
国税庁 仕入税額控除の対象となるもの
国税庁 消費税の仕入税控除の方式としてインボイス制度が開始されます
国税庁 納税義務の免除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部