更新日: 2022.10.29 その他税金

個人事業主が知っておきたい節税制度「青色事業専従者給与」とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

個人事業主が知っておきたい節税制度「青色事業専従者給与」とは?
個人事業主は毎年自分で確定申告をするため、各種控除についてはある程度の知識を持っているでしょう。
 
例えば医療費控除や生命保険料控除は、控除でもよく知られています。では、個人事業主が家族を従業者とした場合に受けられる控除があるのをご存じですか?
 
これを青色事業専従者給与といい、所得から控除されます。今回はこの青色事業専従者給与について解説します。
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青色事業専従者給与は所得税の節税につながる

青色事業専従者給与の対象となるのは、個人事業主のうち青色申告をしている人です。
 

青色事業専従者給与の概要

国税庁のホームページでは、青色事業専従者給与について記載されています。以下、抜粋して紹介します。
 
生計を一にしている配偶者その他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合、納税者がこれらの人に給与を支払うことがあります。これらの給与は原則として必要経費にはなりませんが、青色申告者の場合であれば「一定の要件の下に実際に支払った給与の額を必要経費とする青色事業専従者給与の特例」が認められています。
 
あわせて、青色事業専従者とは、次の要件に当てはまる人のことをいいます。
 

●青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
 
●その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
 
●その年を通じて6ヶ月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること

 
この特例の適用を受ける場合には、あらかじめ納税地の所轄税務署長へ「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出している必要があります。届出書に記載された金額の範囲内で、記載内容に従った支給方法で支払わなければいけません。
 
また、支払われる給与は、労務の対価として相当である、と認められる金額である必要があります。一般的には月額10万円以下で設定することが多く、さらに8万8000円未満であれば源泉徴収の必要がないため、会計上もスムーズです。
 
これらを満たすことで、青色事業専従者給与の特例を受けることができます。該当する家族へ支払った給与が経費として控除されるため、納税者の所得税負担が軽減されます。
 

青色事業専従者の年間給与が一定額を超えると税金が生じる

青色事業専従者給与は納税者の節税につながるため、適用条件を満たすようであれば取り入れたい制度です。
 
一方で、注意したい点があります。青色事業専従者に対する給与が過分な場合、専従者本人の税負担が生じます。
 

年間100万円超で住民税の対象となり103万円超で所得税が生じる

青色事業専従者への給与は、おおむね10万円を目安に、一定の範囲内で納税者の経費として控除されます。仮に毎月10万円を給与として支払った場合、年間120万円になります。
 
この場合、納税者の家族である専従者は、住民税も所得税も支払うことになります。なぜなら、年間100万円超で住民税の対象となり、103万円超で所得税の対象となるからです。
 
青色事業専従者給与の特例は、家族が事業を手伝うことによる対価として支払われ、なおかつ納税者の節税にもなる制度です。
 
しかし、かえって税金を納付することになれば、世帯全体として考えたときに節税効果が高いとはいえなくなります。
 
このため、青色事業専従者給与の特例を検討する場合には、金額をいくらに設定するかは熟慮する必要があります。
 

まとめ

青色事業専従者給与の特例を適用すると、相当な範囲の給与に対して必要経費とみなされるため、納税者の所得税控除になります。
 
しかし、専従者へ支払う給与額によっては、かえって税金を支払うことになるため、金額の設定には留意しましょう。
 
※本記事記載の税務に関する内容は、あくまで一般的な例です。個別の案件に関しては、あらかじめ税務署などの専門機関へ相談のもと、進めることをおすすめします。
 

出典

国税庁 所得から差し引かれる金額(所得控除)

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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