更新日: 2022.11.03 控除

私の給料が夫の給料を超えた。子どもはどっちの扶養?

私の給料が夫の給料を超えた。子どもはどっちの扶養?
A子さんは共働きの主婦です。小学生の子どもが1人います。夫の扶養内パート勤務で働いていましたが、子どもが高学年になったことを機に、フルタイムで働き始めました。厚生年金・健康保険に加入しています。子どもは夫の扶養になっています。
 
フルタイムで働いて2年、Aさんの手取りのほうが多くなりました。夫婦共同扶養の場合、子どもはどちらの扶養になるのでしょうか。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

どちらの扶養? 被扶養認定の具体的な基準は?

まず、夫婦とも被用者保険の被保険者の場合(協会けんぽや、○○組合等)から見ていきましょう。
 
これまでは、被扶養者届けの出された日の、前年分の年間収入が多いほうの被扶養者とすることが原則でしたが、令和3年8月1日からは、年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだもの)が多いほうの被扶養者とされます。
 
もし、夫婦の一方が国民健康保険加入の場合は、被用者保険加入の被保険者の年間収入と、国民健康保険の被保険者の直近の年間所得で見込んだ年間収入とを比較して、多いほうを主たる生計維持者とします。
 
しかし、明らかに収入が違う場合は収入の差がハッキリするのですが、同じくらいの収入で毎年のように収入が逆転する場合、被扶養者の保険証がころころ変わることになってしまいます。
 

こんな場合は、被扶養者を異動しない

収入が逆転した場合でも、年収が多いほうと少ないほうの差額が、多いほうの年収の1割以内なら、届け出をすることで、主に生計を維持しているほうの扶養にできます。
 
A子さんご夫婦は、夫の収入を上回ってはいますが、その差は微々たるもの。公共料金の引き落としは夫の口座からで、まだ夫が家計を支えている状態です。よって、まだ異動の必要はありません。
 
また、主に生計を維持しているほうが育児休業等を取得する場合、育児休業期間中はすでに被扶養者となっている者の異動はしません。ただ、新たに誕生した子については、認定要件の原則に従い手続きをします。
 
また、共済組合の組合員で扶養手当等を支給されている場合は、その認定を受けている者の被扶養者としてもよいとされています(ただし、扶養手当等の認定がないからと、それだけの理由で被扶養者として認定しないことはできません)。
 

認定を確認してから外す

では、この後、年間収入が逆転してしまったため被扶養者を異動させる場合は、どのような順番で行ったら良いでしょうか。
 
手続中に被扶養者が無保険状態にならないように、年間収入が多くなった被保険者のほうに扶養認定されることを確認してから、年間収入が少なくなったほうを削除します。
 
異動前の会社に、被扶養認定を受けたことが証明できるもの(資格証明書や保険証のコピー)と、これまでの保険証を添えて被扶養者異動届を出します。
 
被扶養者認定がされなかった場合、保険者が認定しなかった理由(年間収入の見込額等)、加入者の標準報酬月額、届出日、決定日が記載されている(ことが望ましい)決定通知書が出されます。
 
それを、被保険者はその決定通知書を届出書に添えて、次の保険者に届け出ます。そして、保険者間で協議が行われます。
 
それでも決まらない場合は、最初に保険者に届出書が提出された月において、標準報酬月額が高いほうの被扶養者とされます。同額の場合は、主として生計を維持するほうの被扶養者とされます。
 
夫婦ともに同じ保険者に加入の場合は、夫婦どちらの被扶養者であっても保険者の負担は同じになりますが、片方が○○組合などの異なる保険者間の異動は、被扶養者の認定がより慎重にされます。
 
手続きや添付書類(年収・続柄等)につきましては、ご加入の保険者(協会けんぽ・組合健保等)にお問い合わせください。また、社会保険上の扶養と、税制上の扶養は異なります。
 
よって、例えば被扶養者が複数人いる場合、片方の扶養家族として年末調整はされますが、その後の確定申告により、被扶養者を両親に分けて申告ができます。
 
以上をふまえ、ご自身の家庭の状況を確認してみましょう。
 

出典

厚生労働省 夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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