更新日: 2022.11.15 控除

親の介護費用を支払っている方必見! 医療費控除できる可能性があるかも?

親の介護費用を支払っている方必見! 医療費控除できる可能性があるかも?
介護保険サービスの利用料のなかには、医療費控除の対象となるものがあることをご存じでしょうか。ご存じなかった方は5年間さかのぼって還付申告が可能です。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

医療費控除

その年の1月1日から12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にしている配偶者、そしてその他の親族に対して医療費を支払った場合、10万円を超える医療費を「医療費控除」として所得金額から控除できます。なお、医療費が10万円を超えない場合、「総所得金額等×5%」で計算した金額で控除を受けられる場合があります。控除額は最高200万円です。
 
保険金などで補てんされる金額がある場合は、医療費から差し引いて医療費控除の金額を計算するので気を付けましょう。補てんされる金額は、見込みがあれば見込額での申告が必要ですので注意してください。
 
医療費控除は、年末調整ではできず確定申告で行います。医療費控除を受けるためには、「医療費控除の明細書」を、所得税の確定申告書に添付して所轄税務署に提出する必要があります。医療費の領収書の添付は不要ですが、自宅で5年間保存する必要があります。
 

医療費控除の対象となる居宅サービス

居宅サービスとは、自宅を中心に利用するサービスです。「訪問を受ける」、「施設に通う」、「短期間施設に泊まる」などのサービスを組み合わせて利用します。
 
居宅介護サービスは、
 

(1) 訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅管理指導、通所リハビリテーション(デイケア)、短期入所療養介護(医療型ショートステイ)のように看護師、保健師等により行われる「医療系サービス」
 
(2) 訪問介護や訪問入浴介護、通所介護(デイサービス)のように介護福祉士等により行われる「福祉系サービス」

 
以上の2つに分けることができます。
 
このうち、医療系サービスを利用したときに利用者が負担する金額について、医療費控除の対象です。一方、福祉系サービスを利用したときに利用者が負担する金額については原則、医療費控除の対象となりませんが、医療系サービスと併せて利用した場合には、医療費控除の対象となります。
 

医療費控除の対象となる施設サービス

施設サービスとは介護保険施設で受けるサービスをいいます。介護保険施設には、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院があります。施設サービスを利用したときの費用は、施設サービス費の自己負担分(1割~3割)に加え、居住費、食費、日常生活費(理美容代など)があります。
 
介護老人福祉施設や地域密着型介護老人福祉施設では、施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に関わる自己負担額として支払った金額の2分の1に相当する金額が医療費控除の対象です。
 
介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院では、施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に関わる自己負担額として支払った金額が医療費控除の対象です。なお、高額介護サービス費として払い戻しされた際には、その高額介護サービス費を医療費の金額から差し引いて申告を行います。
 
介護老人福祉施設および地域密着型介護老人福祉施設の施設サービス費に係る、自己負担額のみに対して出た高額介護サービス費については、その2分の1に相当する金額を医療費の金額から差し引く必要があります。
 

交通費やおむつ代

交通費については、通所リハビリテーションなど医療系のサービスを受けるために、介護老人保健施設や医療機関等に通うためにかかった通常必要な交通費であれば、医療費控除の対象にできます。
 
おむつ代(紙おむつの購入料・貸しおむつの賃貸代金)については、医師の発行した「おむつ使用証明書」があれば、医療費控除の対象になります。おむつ代の医療費控除を申告するのが2年目以降の方は、医師が発行した「おむつ使用証明書」に代わり、市区町村が交付する「おむつに係る費用の医療費控除の申告に関する確認書」でも医療費控除が受けられます。
 

まとめ

居宅サービスや施設サービスを利用したとき、費用の一部が医療費控除の対象となります。医療費控除の対象になる金額は、事業者や施設が発行する領収証に記載されていますのでしっかり保管しておきましょう。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

国税庁 No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価

国税庁 No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価

国税庁 寝たきりの者のおむつ代

 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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