払い過ぎた税金を取り戻そう! 年末調整で申請できる「控除」一覧
配信日: 2022.11.23
漏らさずすべて申請できるよう、利用できる控除をこの記事でチェックしてみましょう。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
年末調整で申請できる控除とは?
「控除」は、個別の事情を加味して税額を調整するための仕組みです。控除を利用できる条件にあてはまっていれば、税負担が軽くなります。しかし自動的になるわけではないので、年末調整か確定申告をして自分で申請する必要があります。
<「給与所得者の基礎控除申告書」に記入>……合計所得金額2500万円以下なら利用可
・基礎控除
<「給与所得者の配偶者控除等申告書」に記入>……配偶者の所得によっては利用可
・配偶者控除
・配偶者特別控除
<「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記入>……家族の状況次第で利用可
・扶養控除
・ひとり親控除
・寡婦控除
・勤労学生控除
・障害者控除
<「給与所得者の保険料控除申告書」に記入>……支払った保険料や掛金しだいで利用可
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
<「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」に記入>……住宅ローンを組んで2年目以降なら利用可
・住宅借入金等特別控除または特定増改築等住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
※2年目以降に限る
<「所得金額調整控除申告書」に記入>……給与収入850万円超で子どもや特別障害者がいる世帯の人などが利用可
・所得金額調整控除
上記の控除を利用できる場合は、年末調整の時期に会社からもらう申告書に忘れず記入するようにしましょう。
年末調整で申請できない控除もある
「控除」にはさまざまな種類があり、年末調整では申請できない種類もあります。
・医療費控除……1年間に自己負担した医療費が一定額(原則10万円)以上になったとき
・雑損控除……地震・火事・盗難などの被害に遭ったとき
・寄附金控除……自治体や公益社団法人などに寄付したとき。ふるさと納税をしたとき
・寄附金特別控除……政党や認定NPO法人などに寄付したとき
・配当控除……日本株に投資していて配当金を受け取ったとき
・外国税額控除……外国で所得税を納めたとき
・住宅借入金等特別控除または特定増改築等住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の1年目
住宅ローン控除は、1年目は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で済ませられます。寄附金控除と寄附金特別控除は、寄付先によっても変わりますし、どちらか有利なほうを自分で選択できる場合もあります。
年末調整で申請できない控除を利用したい場合や、勤務先で年末調整を受けられなかった場合、年末調整後に状況が変わって控除の対象になった場合などは確定申告をします。
確定申告というと難しそうに感じるかもしれませんが、近年は会社員など給与所得の人ならスマホ1つで簡単に手続きできる「スマホ申告」という方法もあります。画面の指示に従って進めていくだけで自動的に税額を計算でき、そのままオンラインで提出できます。
まとめ
年末調整はややこしくて面倒な手続きと思われがちですが、納める税額を調整する重要な役割があります。控除を申請し忘れると、払い過ぎた税金が戻ってこずそのままになってしまいます。
「毎年同じ」と思って適当に済ませるのではなく、利用できる控除が増えていないかよく確認して手続きするのがおすすめです。もし年末調整に間に合わなくても、確定申告すれば問題ありません。
少しでも税金の負担を抑えるため、控除を知ってうまく利用しましょう。
出典
国税庁 令和4年分 年末調整のしかた
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表