更新日: 2022.12.02 控除

火災保険に加入していなくても利用できる制度。「災害時の所得税軽減免除」とは

火災保険に加入していなくても利用できる制度。「災害時の所得税軽減免除」とは
近年、豪雨災害など自然災害による被害が増えています。これらの自然災害には、個人で加入する火災保険で備えるのが一般的です。
 
実は、火災保険加入の有無にかかわらず利用できる制度があります。災害減免法に基づく所得税軽減免除です。
 
火災保険や地震保険との違いについてや、似た制度である雑損控除についても解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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火災保険とどう違う? 災害減免法による所得税減免の仕組みについて

災害減免法による所得税の減免は、火災保険に加入していなくても利用できます。そもそも火災保険への加入は任意です。
 
内閣府の「保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会」によると、2015年度時点で持ち家の人が建物の火災に関する保険に加入しているのは約82%で、水災補償までカバーしている保険に加入しているのは約66%という結果です。つまり、火災保険自体には加入していても、必要な補償がついていない場合もあり得るということです。
 
火災保険に加入しているからと安心していても、実際に受けた損害が水災によるものである場合、水災補償が付加された保険でない場合には保険金はもらえません。
 
一方、災害減免法による所得税減免では、適用される災害の種類は問いません。ただし、この制度は税金の負担を軽くする目的であるため、火災保険のように「保険金」としてまとまった金額を受け取れるわけではありません。
 

災害減免法に基づく所得税減免の仕組み

災害にあった年の所得金額に応じて、減免される所得税額が異なります。対象となるのは、災害によって受けた住宅や家財の損害金額が時価の2分の1以上、かつ年間の合計所得金額が1000万円以下である場合で、その年の所得税が以下のように軽減または免除されます。

・年間所得金額が500万円以下:所得税額の全額
・500万円を超え750万円以下:所得税額の2分の1
・750万円を超え1000万円以下:所得税額の4分の1

なお、災害減免法の適用を受けるには、確定申告をしなくてはなりません。その際、罹災(りさい)証明書の写しや被害状況の分かる書類等が必要です。
 

雑損控除と災害減免法のいずれかを利用して税負担を軽減しよう

災害時に適用される所得税減免措置として、雑損控除もあります。ただし、雑損控除と災害減免法は両方を同時に使うことはできません。したがって、いずれかを選んで利用することになります。
 

雑損控除とは

雑損控除とは、災害や盗難、横領などによって資産に損害を受けた場合に、一定金額の所得控除が受けられる仕組みです。
 
災害減免法と大きく違うのは、損害額が大きく1年分で控除しきれない場合は、最長3年までの間に繰り越しができる点です。雑損控除の金額は、次のいずれかのうち多い方です。

・(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
・(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

雑損控除は確定申告での手続きが必要です。災害減免法と雑損控除のいずれを適用したらよいかについてや、必要書類など手続きに関する相談は、所轄の税務署や国税局電話相談センター等へ問い合わせてみることをおすすめします。
 

まとめ

災害減免法と雑損控除は、いずれも火災保険に加入していなくても利用できる所得控除です。損害額によっては大きな負担軽減につながるため、災害にあった年には確定申告で申請しましょう。
 
あわせて、現在火災保険に加入している人は補償内容について再度確認し、保険料のムダがないように見直しの検討をすることもおすすめします。
 

出典

国税庁 No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除
内閣府 保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会 報告ポイント
国税庁 No.1110 災害や盗難などで被害を受けたとき(雑損控除)
国税庁 災害等にあったとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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