更新日: 2022.12.07 控除

あなたのパート代は大丈夫? 年末に向けて社会保険・税金の壁をおさらい!

あなたのパート代は大丈夫? 年末に向けて社会保険・税金の壁をおさらい!
年末調整の時期を迎え、今年も扶養の範囲内で働く予定にしていたけれど、2022年10月の社会保険適用拡大によって、扶養の対象から外れる人もいるのではないでしょうか。
 
年の途中で扶養の対象から外れた場合は、年末調整にて移動申告を行う必要があります。
 
今年の年末調整の提出に向け、税金や社会保険の壁をもう一度おさらいしておきましょう。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com

税金の壁

税金の壁とは、所得税および住民税の課税対象になるかどうかの壁です。
 
ただし、課税対象になるかどうかは、収入ではなく、収入から各種控除を差し引いた課税所得金額で判断します。
 

<100万円の壁>

一般的に100万円の壁とは、住民税が課税されるかどうかの壁といわれています。ただし、住民税の計算は自治体によって異なるため、必ずしも自分が住んでいる自治体の住民税の課税対象になる壁が100万円になるかどうかは分かりませんので、自治体のサイトを確認してみましょう。
 
また、住民税は、所得に応じて課税される「所得割」と、所得に関係なく一律の金額が課税される「均等割」に分かれており、納めるときは、所得割と均等割の合計額を納付します。
 

<103万円の壁>

103万円の壁は、所得税の支払い義務が発生する壁です。給与所得者であれば、課税所得金額は、給与収入から給与所得控除を差し引いた給与所得金額から、所得控除を差し引いて最終的な課税所得金額を計算します。
 
給与収入が103万円の場合の給与所得控除額(※1)は55万円ですので、給与所得金額は48万円です。そして、納税者に一律適用される基礎控除額(※2)は48万円ですので、給与収入が103万円以下であれば所得税は課税されないことになります。
 
また、年間の合計所得金額(給与所得金額)が48万円以下であれば、配偶者控除(※3)の対象になり、扶養の対象になります。
 

<150万円および201万円の壁>

所得金額が48万円を超えても、納税者本人の合計所得金額と配偶者の合計所得金額に応じた配偶者特別控除(※4)が適用されます。
 
ただし、配偶者控除の合計所得金額が高くなるにつれ、適用される配偶者特別控除は少なくなり、配偶者の合計所得金額が95万円、つまり給与収入が150万円を超えるまでは配偶者特別控除が満額適用されます。
 
しかし、150万円を超えると徐々に少なくなり、合計所得金額が133万円(給与収入201万円)を超えると、配偶者特別控除は適用されなくなります。
 

社会保険の壁

2022年10月から、パートとして勤務していた会社によっては、社会保険の加入対象になった人もいると思います。社会保険の壁を確認してみましょう。
 

<105万円6000円の壁>

2022年10月より、社会保険の適用が拡大(※5)され、パートやアルバイトでも以下の要件をすべて満たす場合は、社会保険の適用対象になります。

・勤務先の従業員数が101人以上である
・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満である
・2ヶ月を越える雇用見込みがある
・月額の賃金(収入)が8万8000円以上である
・学生ではない

そのため、年収105万6000円以上で、それ以外の要件に該当する場合は社会保険への加入が必要になります。
 
これまで配偶者の社会保険の扶養範囲内(130万円以内)での働き方を考えていた人にとっては、大きな問題といえるでしょう。
 

<130万円の壁>

社会保険において配偶者の扶養範囲内でいられる壁(年収)は130万円以下です。逆に年収が130万円を超える場合は、配偶者の扶養から外れ、社会保険料の支払いが発生します。
 

<社会保険料の負担はどのくらい?>

社会保険料には、

・厚生年金保険料
・健康保険料
・雇用保険料

があります。
 
そして、社会保険料(※6)の額は、標準報酬月額を基に算出されます。厚生年金保険料の料率は18.3%、健康保険料(全国健康保険協会管掌健康保険料)は、40歳以下の人は9.81%、40歳以上の人は介護保険料の支払いが発生するため、11.45%です。そして、この料率で計算された額の半分は会社が払ってくれるため、自己負担は半額で済むことになっています。
 
また、雇用保険料率(一般の事業)(※7)は、2022年9月までは0.95%でしたが、10月からは1.35%に上がっています。ただし、雇用保険料については、会社の負担が0.85%(*)ですので、自己負担は0.5%(*)と会社の負担のほうが大きくなっています((*)2022年10月以降適用料率)。
 

まとめ

2022年は社会保険の適用拡大もあり、社会保険の壁の概念は大きく変わった年でもあります。所得税や住民税などの税金の壁については、変更はありませんでしたが、今後給与所得控除の額が変更されたり、所得控除の額や適用の要件が変更されたりする可能性はないとは言い切れません。
 
毎年の税制改正の内容などを把握しておき、変更があれば自分の働き方にどのような影響があるのか、また、今後の働き方をどうするかを考えるようにしておきましょう。
 

出典

(※1)国税庁 No.1410 給与所得控除
(※2)国税庁 No.1199 基礎控除
(※3)国税庁 No.1191 配偶者控除
(※4)国税庁 No.1195 配偶者特別控除
(※5)厚生労働省 社会保険適用拡大 特設サイト
(※6)全国健康保険協会 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
(※7)厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集