更新日: 2022.12.22 確定申告
会社員が副業した場合の確定申告、どのように行う?
執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。
確定申告が必要なケースは?
《副業が「給与所得」に該当する場合》
副業でアルバイトやパートをする場合については、その「収入」が年間20万円を超えると確定申告をしなければいけません。
《副業が「給与所得」および「退職所得」に該当しない場合》
副業が給与所得および退職所得以外の所得の場合については、その「所得金額」(注1)が年間20万円を超えているケースで確定申告が必要です。
(注1)
「所得金額」とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことをいいます。
例えば、副業の収入が22万円で必要経費が3万円であったとします。この場合には、22万円-3万円=19万円、つまり所得金額は19万円となります。このケースでは確定申告の必要はありません。
所得の種類
ここで、所得の種類についても触れておきます。所得税法では、所得をその性格によって次の10種類に区分しています(国税庁 No.1300 所得の区分のあらまし より一部引用)。
《利子所得》
利子所得とは、預貯金や公社債の利子ならびに合同運用信託、公社債投資信託と公募公社債等運用投資信託の収益における分配に関わる所得をいいます。
《配当所得》
配当所得とは、株主もしくは出資者が、法人より受ける配当、そして投資信託(公社債投資信託、公募公社債等運用投資信託、これら以外のもの)および特定受益証券発行信託の収益の分配などに関わる所得をいいます。
《不動産所得》
不動産所得とは、土地・建物等の不動産、借地権等の不動産の上に存在する権利、船舶や航空機の貸付(地上権または永小作権の設定、その他、他人に不動産等を使用させることを含む)による所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除く)をいいます。
《事業所得》
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業から生ずる所得をいいます。ただし、不動産の貸付や山林の譲渡による所得は、原則不動産所得や山林所得となります。
《給与所得》
給与所得とは、勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます。
《退職所得》
退職所得とは、退職によって受ける勤務先からの退職手当や、厚生年金基金等の加入員の退職に起因して支払われる、厚生年金保険法に基づいた一時金などの所得のことをいいます。
《山林所得》
山林所得とは、山林を伐採して譲渡、立木のままの譲渡によって発生する所得のことです。
《譲渡所得》
譲渡所得とは、土地、建物、そして例えばゴルフ会員権などの資産を譲渡することで発生する所得、建物などの所有を目的としている地上権などによって発生する所得で、それが一定のもののことをいいます。
《一時所得》
一時所得とは、上記の利子所得から譲渡所得までのいずれの所得にも該当しないもので、営利目的の継続的行為によって発生した所得以外のもので、労務、その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価というかたちの性質ではない一時の所得のことをいいます。
(1)懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金
(2)生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
(3)法人から贈与された金品
《雑所得》
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に関わる所得で原稿料やシェアリングエコノミーなどの所得が該当します。
また、次のような所得についても一般的には、雑所得に該当するとされています。
1.インターネットのオークションサイトやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得
● 衣服・雑貨・家電などの資産の売却による所得(注2)
● 自家用車などの資産の貸付による所得
● ベビーシッターや家庭教師などの人的役務の提供による所得
2.ビットコインをはじめとする暗号資産の売却等による所得
3.民泊による所得
(注2)
生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税となり、この所得については確定申告が不要です。
まとめ
副業の有無にかかわらず、以下に該当する会社員は確定申告をします。
●年収が2000万円以上である
●医療費控除、住宅ローン控除などを受ける
●ふるさと納税をしている方で「ワンストップ特例制度」を利用していない
給与の収入金額が2000万円を超える方については、会社で年末調整は行われませんので、個人で確定申告を行う必要があります。また、医療費控除や住宅ローン控除などを受ける場合、ふるさと納税をしていて「ワンストップ特例制度」を利用していない場合には、確定申告することで還付を受けることができます。
なお、副業の所得が20万円以下で確定申告が不要の方も、住民税の申告は必要になります。
以上の点に留意して、確定申告が必要であるかどうかを判断しましょう。
出典
国税庁 No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合
国税庁 No.1300 所得の区分のあらまし
国税庁 副収入などのある方の確定申告
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント