「年末調整のやり方」を担当者となる方に向けてFPが分かりやすく解説
配信日: 2022.12.27
そこで、従業員の年末調整を行う方に向け、あらためて年末調整のしかたを流れで分かりやすく解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年末調整の簡単な流れ
年末調整の大まかな流れは下記のステップになります。
1. 従業員から必要な書類を集める
2. 従業員の給料と所得税など税金を計算する
3. 本来の税額と源泉徴収額について確認し、過不足を調整
4. 税務署への納付
複雑に思える年末調整ですが、大まかに分けしてしまえば4段階です。
従業員から必要な書類を集める
年末調整に必要な書類には、主に次のようなものになります。
●扶養控除等(異動)申告書
●基礎控除申告書
●配偶者控除等申告書
●所得金額調整控除申告書
●保険料控除申告書
●(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
●生命保険料控除証明書などの添付書類
上記の書類を従業員から収集し、記載事項に漏れがないか、すべての書類がそろっているかを確認していきます。これらの書類を集めることで、従業員に生じる税金の計算に当たって控除すべき項目と金額が分かります。
従業員の給料と所得税など税金を計算する
従業員から集めた書類に基づいて控除額を計算したら、従業員が納めることになる本来の税額がいくらになるのか算出します。具体的には、従業員に支給した年間の給与から社会保険料などを差し引き、所得税の税率を乗じて税額を確定していきます。
本来の税額と従業員の税金について確認し、過不足を調整
最終的に算出した本来の税額と、従業員から源泉徴収した税額を比べます。源泉徴収した税額が最終的な税額に比べて不足していれば、従業員から不足分を徴収しますが、その際は基本的に次回に支払う給与から差し引きます。また、源泉徴収した税額が本来の税額を上回っていれば、その分を従業員に還付します。
とはいえ、大抵の場合は所得控除によって源泉徴収した税額が本来の税額を上回り、還付金が発生することになります。そのため、従業員から不足分を徴収するということはほとんどありません。
還付の方法は年末調整が終わった後、次回の給与とともに支払うという流れが一般的です。多くの企業では、12月または翌年1月の給与の支払時に年末調整による還付金を支払っています。
税務署への納税
納税額の過不足の精算まで終われば、あとは年末調整をした月分の所得税徴収高計算書(納付書)に記載して、金融機関やe-Taxのダイレクト納付などで徴収税額を納税します。
年末調整の結果、納付すべき税額が0円であったとしても、事業主は0円であることを記載した所得税徴収高計算書を管轄する税務署へ提出する必要があります。
年末調整で税金の計算などが難しいときは?
年末調整の流れについて、必要な書類の収集と税金の計算、過不足の精算、税金の納付と順番に説明してきましたが、この中でネックと感じる可能性が高い部分は税金の計算でしょう。この点については、国税庁が公開している「年末調整計算シート」を利用すると簡単に計算できます。
年末調整計算シートには、年末調整に必要な書類の見方や税金の計算方法、用語の解説などが記載されています。さらに、ガイドに従って従業員から受け取った書類の記載情報をシートに記入するだけで、税額の計算が効率的に行えるようになっています。
一連の流れの細かい部分で疑問があるときは、国税庁の「年末調整のしかた」を確認してみてください。大抵の疑問については解決できるはずです。
まとめ
年末調整は年に1回の手続きであり、税金の計算が絡むことから難しいと感じられる部分もあると思いますが、国税庁による手順の説明や年末調整計算シートを活用することで、より効率的に行えるはずです。
出典
国税庁 令和4年分年末調整のしかた(手順などの説明)
国税庁 年末調整計算シート
国税庁 令和4年分年末調整のしかた
執筆者:柘植輝
行政書士