更新日: 2023.01.04 確定申告

年金受給中でも「確定申告をしたほうがお得」になる人もいる!?「還付になる可能性が高い具体的なケース」も紹介

執筆者 : 佐々木咲

年金受給中でも「確定申告をしたほうがお得」になる人もいる!?「還付になる可能性が高い具体的なケース」も紹介
公的年金であっても「収入」であることには変わりはなく、「公的年金控除」や「所得控除」を差し引いて残高がある場合には確定申告が必要になります。
 
ただ、年金受給者は高齢であり申告手続きが負担になることを考慮し、一定要件に該当する場合には確定申告をしなくて済む「確定申告不要制度」が設けられています。そのため、「確定申告しなくていいからラッキー」と思う人もいるかもしれません、しかし、本当にそうなのでしょうか。
 
本記事では、確定申告不要制度をそのまま受け入れて損をしてしまうケースを紹介します。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

確定申告不要制度とは

確定申告不要制度とは、課税所得が発生する年金受給者であっても確定申告を行う必要がないという制度です。適用を受けるためには、次のいずれにも該当していなければなりません。就労をやめて年金のみで生活している人であれば、多くの人が該当するのではないでしょうか。

●公的年金等の収入金額(2カ所以上ある場合は合計額)が400万円以下であること
●公的年金等の全部が源泉徴収の対象になっていること
●公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であること

図表1

政府広報オンライン ご存じですか? 年金受給者の確定申告不要制度 暮らしに役立つ情報
 

確定申告しないと損をしてしまう理由

確定申告不要制度の要件にある「公的年金等の全部が源泉徴収の対象になっていること」とは、既に概算での所得税が天引きされているということです。よって、本来納めるべき所得税額が源泉徴収された所得税額よりも少ない場合には、確定申告することで支払い過ぎた分の還付を受けることができます。
 
税務署は還付の有無を教えてはくれないため、確定申告不要制度に該当するからと確定申告しなかった場合には、還付金を逃してしまうことになるため注意しましょう。
 

還付になる可能性が高い具体的なケース

還付が発生する可能性が高くなる要素としては、その年中に次のようなことがあった場合が考えられます。つまり、所得控除に変動がある場合です。

●扶養人数が増えた(扶養控除)
●配偶者と離婚または死別した(寡婦(夫)控除)
●医療費の自己負担が10万円超あった(医療費控除)
●年金から天引き以外の社会保険料を支払った(社会保険料控除)
●生命保険料を支払った(生命保険料控除)
●ふるさと納税をした(寄附金控除)
●住宅ローンを利用してマイホーム取得やリフォームをした(住宅借入金等特別控除)
など

 

確定申告しないと決める前に取りあえず試算してみましょう

所得税の試算と聞くと難しいイメージを持つかもしれませんが、現在では確定申告書をインターネットで簡単に作成することができるようになっています。取りあえず作成してみて、還付になるならそのまま申告、徴収になるなら申告せずにデータを破棄してみるのもよいかもしれません。
 
インターネットの利用が難しい場合には、税務署に相談すると無料で手伝ってもらえます。事前に予約をして行くとスムーズです。
 

まとめ

確定申告不要制度は、「確定申告をしなくてもいいですよ」という制度です。該当するから確定申告してはいけないという意味でありません。還付は確定申告しないと受けることができないため、確定申告しないと決める前に、まずは還付の有無について確認することをおすすめします。
 

出典

国税庁 高齢者と税(年金と税)
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執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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