更新日: 2023.01.17 確定申告
年金生活でも「住民税」の申告が必要なケースとは? 条件を確認
ただし、場合によっては、住民税の申告をしなければならないことがあります。
今回は、住民税の申告がどのようなケースで必要となるかに加え、確定申告が必要なケースと不必要なケースについても解説します。
執筆者:山根厚介(やまね こうすけ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
住民税とは?
住民税とは、上下水道、ごみ処理、学校教育など地域社会の行政サービスで必要となる財源のために、その地域に住む人々が支払っている税金です。住民税は市町村民税と道府県民税に分かれ、1月1日に住民登録をしている市町村へ前年の所得を申告する必要があります。
住民税の申告が必要な場合
確定申告をしている場合は、税務署から市町村へ必要なデータが送信されるため、通常は市町村へ前年の所得を申告する必要はありません。
しかし、確定申告をしていない状況で、以下に当てはまる場合には住民税の申告が必要になります。
●公的年金以外に所得がある場合
●「公的年金などの源泉徴収票」に記載されている控除以外の控除を受けたい場合
公的年金以外の所得として考えられるものには、会社で働いている場合の「給与」や、「生命保険の満期返戻金」、「生命保険や共済などにより支給される個人年金」などがあります。
「公的年金等の源泉徴収票」に記載されている控除とは、「社会保険料控除」、「配偶者控除」、「扶養控除」、「基礎控除」などです。それ以外の控除として、「生命保険料控除」や「損害保険料控除」、「医療費控除」などが挙げられます。
ただし、これらの条件は市町村によって異なる場合があります。条件に当てはまりそうな場合は、あらかじめお住まいの市町村へ問い合わせておくと安心です。
確定申告が不要な場合は?
ところで、確定申告をしなくて済むようになるには、どのような条件があるのでしょうか。
遺族年金・障害年金以外の公的年金は、「雑所得」に当たるため課税の対象となり、支給時に所得税などが源泉徴収されています。したがって、基本的には確定申告で税金の過不足を精算する必要があります。
ただし、「確定申告不要制度」に該当する場合は確定申告が不要です。確定申告不要制度に該当するのは以下の条件を満たす場合です。
●公的年金の受給合計額が400万円以下で、そのすべてが源泉徴収の対象であること
●公的年金以外の所得金額が20万円以下であること
また、確定申告不要制度に該当する場合でも、所得税の還付を受けたいと考えている人は、確定申告が必要です。
例えば、マイホームの新築などにより「住宅借入金等特別控除」や「特定増改築等住宅借入金等特別控除」を受ける場合です。また、医療費を一定額以上払った場合に受けられる医療費控除や、災害や盗難の被害にあった場合などに受けられる雑損控除も挙げられます。
住民税の申告や確定申告で誤りがないようにしましょう
年金生活者にとって、住民税の申告や確定申告は必要がないケースが一般的かもしれません。しかし、場合によっては確定申告や住民税の申告が必要なケースもあります。本記事で紹介したポイントを踏まえて制度を正しく理解し、誤りがないようにしましょう。
出典
総務省 個人住民税
政府広報オンライン ご存じですか? 年金受給者の確定申告不要制度
執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士