住民税に潜む恐怖。転職や退職後に襲い掛かる住民税の危険とは
配信日: 2018.06.12 更新日: 2019.05.17
一定の例外を除き、住民税は毎月の給与から差し引かれることがほとんどです。
住民税の金額は決して安いものではありませんが、払えないとまでは言えない金額です。にもかかわらず、なぜ「大変な目に遭った」といったことや「気をつけた方がいい」などと言われることが多いのでしょうか。
そんな疑問を解消するため、今回は「住民税が恐ろしい」と言われる理由をご説明いたします。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
住民税はどうやって計算される?
まず、住民税の計算方法から確認しましょう。
住民税は1月1日から12月31日までの収入をベースに計算されます。年度で区切られるわけではなく、単純に一年の始まりから一年の終わりまでの期間で計算されているのです。
その際、対象になるのは会社から受け取る給与だけではありません。副業による収入や金融商品から発生する利益も含めて住民税の対象となる収入となります。
住民税は前年の収入を基に発生する
毎月の給与から住民税が引かれている場合、その月の給与に応じて住民税が計算されているように勘違いしてしまいがちです。
ところが、実際にはそうではありません。なんと、住民税は前年の収入を基に計算されたものが毎月の給与から差し引かれているのです。
そして、住民税の支払いは6月から始まり、翌年の5月まで一年間かけて支払います。つまり、今年の収入を基に計算された住民税は翌年の6月から翌々年の5月にかけて支払うこととなるのです。
わかりにくいので具体例でご説明します。
例えば、今年(2018年)の1月1日から12月31日までの収入に応じて発生する住民税は翌年(2019年6月)から翌々年(2020年5月)まで支払う、ということになります。
住民税の恐ろしさその① 現在の給与に関係なく発生する
住民税が恐ろしいと言われる理由の一つに「現在の給与に関係なく、前年の所得に応じて発生する」という点があります。
例えば、「転職により前年よりも給与が大幅に下がってしまった」「残業が少なくなって手取り額が減少してしまった」といった場合にも、通常通り前年の給与を基にした住民税を支払う必要があります。
給与の減少具合によっては生活が維持できなくなってしまったり、ローンの返済予定を変更しなければならない、といったことも起こりえます。
これが、住民税が恐ろしいと言われる理由の一つです。
住民税の恐ろしさその② 収入がなくとも発生する
これこそが住民税最大の恐ろしさとも言えるのではないでしょうか。
なんと、住民税は収入が全くない状態においても支払わなければなりません。
先に述べた部分とかぶってしまいますが、住民税は前年の収入をベースに支払うことになり、現在の収入とは関係なく発生します。
そのため、現在の収入が0であっても、前年に一定以上の収入があれば、収入が発生していないにもかかわらず、住民税のみを支払うことになる。といったことも起こりうるのです。
もしも住民税が支払えない場合はどうする?
収入の変化やその他の事情によっては住民税が支払えないということもあるでしょう。そんな時は、市区町村の役場に相談しましょう。
一定の事由に該当することで、減免や猶予といった制度の適用を受けられる可能性があります。
住民税が支払えないからとそのままにしておくことだけは避けるようにしてください。最悪の場合、家や車といった財産を差し押さえられてしまうこともありえます。
転職や退職を考える際には、その後訪れる住民税の支払いについても一緒に考えるようにしてください。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー