更新日: 2023.02.17 確定申告
【ふるさと納税】1件だけワンストップ特例の締め切りに間に合わなかった! 1件だけ確定申告すればいいの?
ワンストップ特例制度を利用するには、ふるさと納税先が5自治体以内であることに加え、「特例の適用に関する申請書」を、各ふるさと納税先の自治体に提出する必要があります。
本記事では、この申請書の提出期限に間に合わなかった場合、1件だけでも確定申告を行う必要があるのかどうかについて解説します。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
ふるさと納税は、原則として、確定申告を行う必要がある
ふるさと納税は、名前に「納税」と付いていますが、その本質は地方公共団体への寄付です。地方公共団体に対し寄付を行った場合、所得控除(寄附金控除)の適用を受けることができます。
寄附金控除の適用を受けるためには、給与所得者であっても、確定申告を行う必要があります。年末調整では寄附金控除の適用を受けることができません。ですから、ふるさと納税も、原則として、確定申告を行う必要があるのです。
ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」は、以下の要件を満たすことで確定申告を不要とする制度です。
・ふるさと納税先が5自治体以内であること
・ふるさと納税以外に確定申告が不要であること
・各ふるさと納税先の自治体に対し、特例の適用に関する申請書を期限までに提出すること
上記の要件を満たさない場合は、原則どおり、確定申告を行う必要があります。
確定申告を行うと所得税からも控除される
ワンストップ特例制度を利用しても確定申告を行っても、控除を受けられる額に違いはありません。つまり、原則として、支払った額から自己負担額の2000円を除いた額が控除の対象となります。
しかし、その控除が、所得税から控除されるのか住民税から控除されるのかは、ワンストップ特例制度を利用した場合と確定申告を行った場合では異なります。
ワンストップ特例制度を利用した場合、控除の対象となる額について、その全額を住民税から控除します。一方、確定申告を行った場合、控除の対象となる額について、その一部を所得税から、残りの部分を住民税から控除します。
例えば、寄付金の額を2万円、所得税率を10%とした場合のそれぞれの控除額は、図表1のようになります。
【図表1】
まとめ
「特例の適用に関する申請書」の提出期限に間に合わなかった場合、1件だけでも確定申告を行う必要があります。確定申告を行わなかった場合、控除を受けることはできません。
ワンストップ特例制度を利用した場合と確定申告を行った場合の控除額を比較すると、原則として、図表2のようになります。
【図表2】
確定申告の申告期間は2月16日から3月15日までです。確定申告の手続きについては、国税庁が特設サイト「令和4年分確定申告特集」を設けています。また、税務署でも相談に乗ってくれますので、確定申告に不安がある方は、一度確認されてはいかがでしょうか。
出典
総務省 「よくわかる!ふるさと納税」
国税庁 「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」
総務省 「ふるさと納税のしくみ」
国税庁 「令和4年分確定申告特集」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー