【インボイス制度】課税事業者にはどんな準備が必要? 注意点は?

配信日: 2023.02.25

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【インボイス制度】課税事業者にはどんな準備が必要? 注意点は?
2023年10月より適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度がスタートします。
 
インボイス制度は消費税の控除にかかわる大きな制度変更となるため、対応しないことによってデメリットが生じたり、対応したことによって益税のメリットを失ってしまったりするおそれもあります。インボイス制度に対応する場合の準備と注意点について解説します。
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

インボイス制度とは?

2023年現在の消費税は、軽減税率(8%)と標準税率(10%)の複合税率となっています。消費税の納付額を計算する際は、軽減税率の売上と仕入れ、標準税率の売上と仕入れをそれぞれ別個に計算する必要があり、異なる税率間では通算することができず、消費税の計算が複雑化してしまいました。
 
インボイス制度の実施後は、消費税の納税が正確に行えるようにするため、税率ごとの消費税額とサービスの内容などを区別して記録した適格請求書等でのみ消費税の控除が可能となります。
 

インボイス制度の準備(1)~消費税の課税事業者になる~

消費税が課税される商取引を行う事業者の場合、原則として消費税の課税事業者となります。基本的にその年の消費税が含まれる売上額が1000万円以下の場合は消費税の納税義務を免除される「非課税事業者」になることができます。
 
消費税の非課税事業者は仕入れに関する消費税の控除を受けることはできませんが、商品の販売やサービスの提供を通じて受け取った消費税を納税する必要がなく、益税とすることができます。消費税課税取引で売上額よりも仕入が大きい場合にはメリットが大きくなります。
 
しかし、インボイス制度に対応するには申請時に消費税課税事業者となるため、益税のメリットを受けていた事業者はこれを失うことになります。インボイス制度に対応する際はメリット・デメリットを理解して経営判断を行うようにしましょう。
 

インボイス制度の準備(2)~登録事業者の申請手続きを行う~

インボイス制度の登録事業者となるには、国税庁に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する必要があります。
 
提出方法は、郵送または電子申請(e-Tax)を選ぶことがきますが、電子申請の場合は、登録番号をオンラインで受け取ることができます。紛失防止や取引先への通知がやりやすくなるので電子申請に対応している事業者の方はこちらを選ぶとよいでしょう。
 
登録事業者の申請が完了すると国税庁に事業者の情報が掲示され、インボイス制度に関する公的な手続は完了となります。
 
2023年10月1日から適格請求書等を発行するには2023年3月31日までに登録事業者の申請を行う必要があるので注意しましょう。
 

インボイス制度の準備(3)~適格請求書等の書式に対応~

しかし、インボイス制度の登録事業者になっただけではインボイス制度に対応できたとはいえません。
 
適格請求書等により消費税の控除を受けるには、提供したサービスや商品が軽減税率・標準税率のどちらの対象になるのかの区別、税率ごとの消費税額、適格請求書等を発行した事業者の登録番号を記載する必要があります。
 
インボイス制度の対応には、国税庁への申請だけでなく、適格請求書等を発行できるよう環境整備も進めておかないと、登録事業者が発行した請求書等であっても消費税の控除に使用できません。取引先に損失を与えてしまうため書式への対応にも注意して行うようにしましょう。
 

まとめ

インボイス制度に対応する場合、国税庁に適格請求書発行事業者の登録申請書を郵送または電子申請で提出することで登録事業者となることができます。
 
登録事業者になると消費税課税事業者になりますが、現在免税事業者の方は消費税の益税を失ってしまう場合もあります。インボイス制度の対応にはメリット・デメリットがありますので経営判断として慎重に行うようにしましょう。
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表
 

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