更新日: 2023.02.28 確定申告

年金から引かれる「税金」って? 確定申告は必要?

執筆者 : 辻本剛士

年金から引かれる「税金」って? 確定申告は必要?
現役時代に受け取る給料や報酬に所得税や住民税などの税金がかかるように、実は将来受け取る年金にも税金がかかります。
 
本記事ではどのような税金が年金にかかり、年金収入がいくらなら非課税になるのかを解説していきます。
辻本剛士

執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

活動拠点は神戸。FP個別相談や、プロスポーツ選手の資産形成サポートも行っております。プロスポーツ選手に保険、資産運用、支出の見直しなど包括的なアドバイスや、帳簿などの面倒な記帳業務を代行し、本業に集中できる環境作りをサポートします。

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年金は雑所得として課税される

老後の生活を支える資金である年金は、税法上の雑所得にあたり、所得税や住民税などの課税対象になります。
 
所得税額は図表1を参考に計算していきます。
 
図表1

出典:国税庁 No.2260 所得税の税率
 
例えば、課税される所得金額が100万円の場合の所得税額は次の通りです。
 
100万円×5%=5万円
 
所得税額は5万円になります。住民税は居住地によって均等割などが異なりますが、課税所得のおおむね10%といえます。
 

年金の所得税が非課税になる場合

公的年金のみで生活している65歳未満の方は、受給額が108万円以下であれば所得税はかからず、65歳以上の方は158万円以下であれば所得税がかかりません。公的年金には利用できる控除があり、65歳未満の方と65歳以上の方の控除額は次の通りです。

●65歳未満:公的年金等控除60万円、基礎控除48万円
●65歳以上:公的年金等控除110万円、基礎控除48万円

例えば、70歳の方の年金収入が150万円の場合をみてみましょう。
 
150万円-110万円(公的年金等控除)-48万円(基礎控除)=0円
 
このように年金収入から公的年金等控除と基礎控除を引くと所得が0となり、所得税はかかりません(実際の税額は状況によって異なる場合があります)。
 
さらに、「社会保険料控除」や「配偶者控除」「扶養控除」といった控除もあります。これらの控除を使えば65歳未満の方は108万円以上、65歳以上の方は158万円以上の所得があった場合でも、非課税の対象となる可能性があります。
 

年金を受け取ったら確定申告は必要?

年金の確定申告が必要かどうかは、その人の年金所得以外の収入状況によって変わってきます。次の要件を満たした場合は「確定申告不要制度」の対象になり、確定申告が不要です。

●公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
●公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

公的年金等の収入金額とは、「厚生年金」や「基礎年金」の他に「厚生年金基金」や「企業型確定拠出年金」が該当し、これらの合計が400万円を超えた場合には確定申告が必要になります。また、公的年金以外で20万円以上の「給与所得」や「不動産所得」のある方も確定申告が必要です。
 

税金を考慮した老後生活を計画しておきましょう

本記事では年金にかかる税金について解説してきました。年金は雑所得に該当し、所得税や住民税の課税対象になります。ただし、65歳未満の方は年金収入が108万円以下、65歳以上の方は158万円以下の場合は所得税がかかりません。そして、公的年金等の収入が400万円以下で、給与所得や不動産所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。
 
年金の受給額は老後の生活を設計する上で重要な要素ですが、その年金にも税金や社会保険料などがかかることを忘れず、税金や社会保険料を割り引いた金額で無理なく生活できるライフスタイルを計画することが大切です。
 

出典

国税庁 高齢者と税(年金と税)
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプランニング技能士、宅地建物取引士、証券外務員二種

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