更新日: 2023.03.10 控除
領収書がないのですが、医療費控除は受けられますか?
確定申告の際、自分が支払った医療費の金額を記入(入力)する必要がありますが、もし病院などでもらった領収書を間違えて捨ててしまったり紛失したりしてしまった場合はどうなるのでしょうか。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
領収書を紛失してもあきらめなくてOK!
まず、確定申告の際、医療費の領収書の提出や添付は不要です。ただし、確定申告期限等から5年間は提示や提出を求められる可能性があるため、保存しておく必要があります。
お世話になった病院などに、領収書の再発行ができないか相談してみましょう。再発行ができなくても「支払証明書」など別の書面を発行して対応してくれるケースもあります。
支払った医療費の金額は、領収書や支払証明書のほか、加入している健康保険や自治体から送られてくる「医療費のお知らせ」で確認もできます。
一定の条件を満たした「医療費のお知らせ」は、確定申告の添付書類にできます。この書類があれば、領収書がなくてもある程度医療費の金額を把握できますし、確定申告の際に提出が必要な「医療費の明細書」の記入も少なくて済みます。手元にあれば以下の6項目すべてが入っているか確認してみましょう。
・被保険者(健康保険に加入している人)等の氏名
・療養を受けた年月
・療養を受けた者
・療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
・被保険者等が支払った医療費の額
・保険者(加入している健康保険)等の名称
(出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」)
ただ、「医療費のお知らせ」にはいくつか注意点があります。まず、保険適用外の治療は記載されません。また、こちらも領収書同様、紛失すると再発行できない場合があります。
さらに、診療を受けてから「医療費のお知らせ」を発行するまで3~4ヶ月程度かかります。11月・12月に受診した分は確定申告の期限(翌年3月15日)に間に合わない可能性もあります。
なお、確定申告の期限は通常は翌年3月15日までですが、還付申告(納め過ぎた税金を取り戻すための確定申告)なら、いわゆる「確定申告シーズン」に関係なく翌年1月1日以降5年間いつでも手続きできます。
「医療費のお知らせ」以外にも、保険診療分の医療費については「マイナポータル連携」で把握することもできます。マイナンバーカードを持っている人がマイナポータル連携を行うと、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で医療費の項目が自動入力されるので便利です。
このほか、例外的に診察券やお薬手帳、家計簿などで支出が認められることもあるようです。悩んだときは税務署に問い合わせて確認してみましょう。
医療費控除を受けられるかどうか確認!
そもそも、医療費控除を受けられるのか、対象になる条件を確認しておきましょう。
対象になる医療費とは?
1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象です。自分だけでなく同じ家計で生活する家族のために支払った分も含まれます。また、病院に支払った治療費以外にも、治療に必要な薬の購入費用、通院にかかった交通費、一定の介護サービス費用なども認められる可能性があります。
対象になる金額は?
(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-(10万円または、所得金額の5%のどちらか少ない金額)
医療費控除の金額は、上記の式で計算するのが基本です。最高200万円まで認められます。ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は10万円未満であっても「総所得金額等の5%の金額」を超える支出が医療費控除の適用を受けることができます。
まとめ
領収書がないからといって、医療費控除をあきらめる必要はありません。自宅などをくまなく探しても見つからない場合は、病院などに再発行を依頼してみましょう。
医療費の金額は「医療費のお知らせ」にも記載されていますし、マイナポータル連携で確定申告書に自動入力もできます。
少々手間はかかりますが、確定申告すればお金が戻ってくるかもしれません。わからないことは税務署に確認しながら進めるなどして、チャレンジしてみましょう。
出典
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 マイナポータル連携で確定申告書に自動入力!
大阪市 「国民健康保険医療費のお知らせ」をお届けしています
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表