更新日: 2023.03.24 その他税金
入湯税は年間「約224億円」!? 税収の使いみちについても解説
この記事では入湯税について、税収がどんな用途に使われているかを含めて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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入湯税とは?
入湯税とは、地方税のうち「市町村税」の「目的税」(特定の経費に充てる目的で徴収される税)に分類される税の一つで、温泉(鉱泉浴場)施設や温泉宿泊施設を利用する際に「利用料」や「宿泊代」と一緒に支払うものです。
入湯税の税率は「鉱泉浴場」がある各自治体で決めることができます。年齢が12歳未満の人や修学旅行などの学校行事で利用する人には非課税とするなど、柔軟な対応ができるのも目的税である入湯税の特徴です。
入湯税は温泉施設の利用料に含まれていることも多いため、「払ったことがない」と感じる人もいるかもしれません。しかし、温泉施設や温泉宿泊施設が発行する領収書(レシート)には、入湯税の項目が必ず記載されています。
温泉を利用する人数が安定していれば、入湯税を導入している自治体にとって貴重な財源となります。しかし、温泉の利用者が減ると、おのずと入湯税の税収も減ってしまうでしょう。
入湯税の税収は年間でおよそ224億円
次に、入湯税の税収について見ていきましょう。
2018年時点で日本全国の入湯税による税収は約224億円です。入湯税の税額は、標準として「1日につき1人150円」と総務省が定めているため、単純計算で1年間に約1億5000万人が温泉を利用しているといえます。なお、税額は宿泊客を想定して150円と定められている場合のほか、日帰り客の利用がメインのスーパー銭湯や健康センターなどの温泉施設では100円としていることもあります。
なお、温泉を利用する人が支払った入湯税は毎月、温泉施設の経営者が市町村に納める決まりになっています。
入湯税の税収の使い道は?
続いて、入湯税の税収がどのような用途で使われているかを解説します。
入湯税の税収は以下の目的に利用されています。
・環境衛生施設の整備
・鉱泉源の保護管理施設の整備
・観光の振興(観光施設の整備を含む)
・消防施設その他消防活動に必要な施設の整備
具体例として、神奈川県箱根町の令和4年度予算における入湯税の使いみちを見てみましょう。箱根町の令和4年度予算のうち入湯税は総額5億6410万円です。
このうちの59.1%は「環境衛生施設の整備」に充てられています。これはゴミ処理施設の維持管理や下水道の整備に役立てられています。総事業費4億1848万円のうち8割弱に入湯税が財源に充てられていることになります。
また、37.1%は「観光の振興・観光施設の整備」に活用されています。具体的には誘客のための宣伝費や観光街路灯整備などに充てています。これも総事業費2億956万円のうち52%あまりが入湯税で賄われています。
【図表1】
箱根町 入湯税
なお、入湯税は目的税のため、各自治体は上記以外の目的で税収を利用することはできません。観光客が入湯税を支払うことは、その自治体のごみ処理や消防等の行政サービスの維持やインフラ整備を支えていることになります。人口減少が進む地方自治体では入湯税の収入が貴重な財源になっているといえます。
まとめ
今回は入湯税の内容と税収の使い道について解説しました。入湯税は市町村税のうちの目的税の一つで、温泉施設を整備するためなどに欠かせない税金です。
あなたも温泉施設を訪れた際は、その温泉施設が利用者を癒やしているだけでなく、地域住民の行政サービスに入湯税が役立てられていることに思いを巡らせながら温泉を楽しんでみてください。
出典
国税庁 身近な税 温泉旅館に泊まったときに税金(入湯税や宿泊税)がかかりました。あれはどういう税ですか?
環境省 令和2年度温泉利用状況
総務省 地方税制度 入湯税
箱根町 入湯税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部