更新日: 2023.04.28 その他税金
「住民税非課税世帯」とは? 年収いくらくらいなら住民税非課税世帯になる?
住民税は地方税で、都道府県や市区町村に収めるものですが、この「住民税非課税世帯」とは何でしょうか? 年収いくらくらいを指すのでしょうか?
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
そもそも住民税とは
住民税とは、都道府県や市区町村に納める地方税です。厳密には都道府県民税と市町村税に分かれています。
毎年1月1日から12月31日までの1年間の収入を基に計算されるのは所得税と同じですが、納付が所得税のケースでは、会社員等の場合は源泉徴収されますが、住民税の場合は1年間の収入が決まって、翌年の6月以降に支払い始めます。
また、住民税の税額の計算は確定申告や年末調整を基に自治体が計算しますので、多くの場合は住民税のためにだけに申告等を行うことはありません。
都道府県民税も市町村民税も一括して市区町村が徴収し、その際の支払先の自治体は1月1日現在で居住していた市町村になります。徴収方法には普通徴収と特別徴収があり、一般的に普通徴収は個人事業主、特別徴収は会社員や年金受給者が対象です。
住民税にはどのような種類があるの?
個人の住民税には、次のものがあります。
(1) 所得割…前年の所得金額に応じて課税
(2) 均等割…定額で課税
(3) 利子割…預貯金の利子等に課税
(4) 配当割…上場株式等の配当等および割引債の償還差益に課税
(5) 株式等譲渡所得割…源泉徴収選択口座内の株式等の譲渡益に課税
また、事務所や家を所有していてもその市区町村に住所がない場合には、均等割だけが課税対象です。
税額はいくらなの?
所得税は累進課税で、所得が多くなればなるほど税率も上がりますが、住民税の場合は一律です。東京都を例に挙げると図表1のとおりです(全国ほぼ同じですが、一部自治体は異なります)。
【図表1】
どのような場合に住民税が非課税になるの?
住民税の非課税には、所得割・均等割ともに非課税になる場合と所得割のみ非課税になる場合があります。所得割・均等割とも非課税になる条件は、以下2つのいずれかに当てはまる場合です。
(1) 生活保護を受けている
(2) 前年度中の合計所得金額が、
・障害者・未成年者・寡婦またはひとり親の場合は135万円以下(給与収入のみの場合は年収204万4000円未満、65歳以上で公的年金収入のみの場合は245万円以下)
・同一生計配偶者または扶養親族がいる場合は35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数+31万円以下
・同一生計配偶者および扶養親族がいない場合は45万円以下
所得割が非課税となる条件は、同一生計配偶者または扶養親族がいる場合、前年中の合計所得金額が以下の所得以下のときです。
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+42万円以下
ちなみに、世帯の全員が非課税の場合のみ「住民税非課税世帯」に該当します。
収入がいくら以下であれば住民税が非課税になるの?
まず、所得額を求める方法は個々人によって異なりますので、一概に「年収が○○円以下なら住民税が非課税です」といい切れません。
一例ですが、控除対象がない給与所得者の場合であれば、年収100万円以下の場合、住民税が非課税になります({162万5000円未満の所得控除額}55万円+{生計を同一とする配偶者および扶養親族がいない場合(単身者)}45万円=100万円のため)。
まとめ
コロナ禍以降、住民税非課税世帯に対してのさまざまな給付金等については、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。それら以外にも、住民税非課税世帯は医療費の自己負担が軽減されることがありますので、どのような制度があるのかをチェックするようにしましょう。
出典
東京都主税局 個人住民税
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表