「新卒2年目」は手取りが減る!? 避けられない「住民税」の影響を解説

配信日: 2023.05.21 更新日: 2023.05.22

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「新卒2年目」は手取りが減る!? 避けられない「住民税」の影響を解説
新卒2年目になって仕事量も増えてくるにも関わらず、6月の給料の手取りが少し減ったという経験はありませんか。減給されたわけではないのに、不思議だと思う人も多いでしょう。新卒2年目の手取りが少なくなる理由は、住民税にあります。
 
本記事では、新卒2年目になると避けられない住民税の課税について解説します。また、年収・手取り別で住民税額の目安もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
増田賢人

執筆者:増田賢人(ますだ けんと)

2級FP技能士

FP2級技能士。青山学院大学教育人間科学部卒。在学時からFP2級を取得し、お金に関わるジャンルを得意とするライターとして活動。

その後、上場企業へ入社し、Webマーケティング担当として従事。現在はお金ジャンルを得意とする専業ライターに転身。「お金の知識は知ってるだけで得する」という経験を幾度もしており、全員にお金の基本を身につけてもらいたいと思って執筆を続けている。

新卒2年目の6月から住民税が課税される

新卒2年目になると、6月の給料から住民税が課税され始め、その税額分が天引きされます。
 
住民税は前年の所得を基に税額が決まり、翌年に課税される仕組みです。つまり、新卒1年目の4月~12月分の合計所得に対して、住民税額が計算され、新卒2年目に課税されます。
 
新卒1年目に課税されないのは、その前年度はまだ学生で、住民税が課税される年収まで基本的に達していないためです。言い換えれば、学生時点で課税される年収以上まで稼いだ場合、新卒1年目でも住民税は課税されます。
 
また、新卒3年目以降の住民税額は、新卒2年目より増えるので注意してください。新卒2年目時点の住民税額は、入社した4~12月の合計所得を基にしています。しかし、新卒3年目は1~12月の合計所得となるため、課税対象の所得額が上がるためです。
 
住民税がどのくらい天引きされているかは、毎月の給与明細か毎年の源泉徴収票で確認してみてください。
 

【年収・手取り別】住民税額の目安

ではどのくらいの年収・手取りだと、住民税はいくら課税されるのでしょうか。目安は図表1の通りです。
 
ただし、年収に対して実際の手取り額は、家族構成や経済状況によって異なります。数値はあくまで概算として、参考にしてください。
 
図表1

年収 手取り 住民税額
200万 14万 6万円
250万 17万 9万円
300万 20万円 12万円
350万 23万円 14万円
400万 26万円 18万円
500万 33万円 24万円

(単位:円)
筆者作成
 
国税庁の民間給与実態統計調査によると、2021年時点で20~24歳の平均給与は269万円、25~29歳の平均給与は371万円です。上記の表と照らし合わせると、入社時期や卒業時期によりますが、新卒2年目では年間9~14万円(月額7500~1万1666円)ほどの住民税がかかると計算できます。
 
新卒2年目の6月以降は、毎月7500~1万1666円ほど手取りが減ると認識しておきましょう。
 

新卒2年目でもできる住民税を安くする方法

下記の方法を使えば、新卒2年目でも住民税を安くできます。

●確定拠出年金を始める
●ふるさと納税をする

それぞれ説明します。
 

確定拠出年金を始める

勤務先もしくは個人の確定拠出年金を始めると、拠出した金額分が所得控除されるため、住民税額を減らせます。
 
確定拠出年金とは、税制優遇を受けながら公的年金にプラスして老後の年金額を増やす制度です。毎月一定の金額を拠出して運用し、資産を増やしていけます。ただし、基本的に60歳以降からでないと、掛け金を引き出せないので注意してください。
 
もし勤務先で確定拠出年金の制度があれば、ぜひ加入してみてください。毎月の給料から自動的に天引きされる形で、貯蓄できます。
 
勤務先に確定拠出年金がないなら、証券会社で口座開設し、個人版の確定拠出年金への加入を検討してください。
 

ふるさと納税をする

ふるさと納税をすると、納税額から2000円を引いた金額が所得税および住民税からの控除となり、税額を減らせます。
 
ふるさと納税とは、自分で自治体を選んで寄附することで、税制優遇と特産品や感謝状などの返礼品がもらえる公的な制度です。ただし、寄附できる金額は年収ごとに上限があるので注意してください。
 
ふるさと納税を行えば、住民税だけでなく所得税も節税できるので、会社員におすすめの方法です。
 

新卒2年目以降は住民税が天引きされると覚悟しよう

新卒2年目以降は、どうしても住民税は課税され、手取り額は減ってしまいます。もし新卒1年目の給料でギリギリの生活をしていた場合、新卒2年目の6月以降はさらに厳しくなってしまうでしょう。
 
新卒1年目時点から翌年の住民税の課税を見越して支出を調整し、貯金や節約術を学んでおくとよいでしょう。
 

出典

総務省 個人住民税
国税庁 令和3年分 民間給与統計調査
 
執筆者:増田賢人
2級FP技能士

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