更新日: 2023.06.14 控除

年金生活者なら年間医療費が10万円以下でも税金控除が受けられるかも?

年金生活者なら年間医療費が10万円以下でも税金控除が受けられるかも?
一般的に、医療費控除とは、年間の医療費が10万円を超えた場合が対象であると広く知られています。しかし実は、医療費控除にはもう1つ基準が設けられているのをご存じですか?
 
年間所得が200万円以下の場合、必ずしも年間の医療費が10万円を超えなくても、医療費控除の対象となります。
 
そこでこの記事では、年間所得が200万円以下の場合で適用される医療費控除について解説します。特に年金生活者は、公的年金にかかる所得控除の適用もあることから、年間所得200万円以下に該当することも多いでしょう。
 
急な年収ダウンや、年金を主な収入とする老後のために、本記事で医療費控除について理解を深めておきましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

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合計所得200万円以下の場合は所得の5%が医療費控除の目安

医療費控除の対象となる控除額は、次の計算式で求めます。
 
・(1年間で支払った医療費の総額-保険金などで補てんされる金額)-10万円(※)=医療費控除額(最高200万円)
 
(※)ただし所得の合計額が200万円までの場合は所得の合計額の5%
 
つまり、所得の合計額が200万円以上の場合には、一律10万円を目安にし、200万円以下の場合は、年間所得(総所得金額)の5%を目安とします。この金額を最低限度額とし、これらを超えた分は医療費控除の対象となります。
 

総所得金額とは

所得の合計額のことを、総所得金額といいます。総所得金額とは、事業所得や給与所得などの所得の合計に、損益通算や前年から繰り越した純損失・雑損失の繰越控除を適用した後の金額のことです。
 

年金生活者の年間所得とは、公的年金等控除額を差し引いた後の金額

国税庁ホームページでは、「公的年金等」は、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算する、と解説されています。この対象となる公的年金等とは、次の年金等です。
 
公的年金等は、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。

・国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金
・過去の勤務により会社などから支払われる年金
・確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金
・外国の法令に基づく保険または共済に関する制度で(1)に掲げる法律の規定による社会保険または共済制度に類するものに基づいて支給を受ける年金

あくまでも上記の公的年金等を対象としている点は、注意が必要です。例えば、民間生命保険会社の個人年金保険や互助年金などは、この対象にはなりません。
 

年金生活者の医療費控除・シミュレーション

公的年金等にかかる雑所得は、年齢と公的年金等の収入金額の合計によって、計算方法が違います。65歳以上で公的年金等以外の合計所得が1000万円以下の場合、雑所得の速算表は次の通りです。

・110万円以下…0円
・110万円超330万円未満…収入金額の合計額-110万円
・330万円以上410万円未満…収入金額の合計額×0.75-27万5000円
・410万円以上770万円未満…収入金額の合計額×0.85-68万5000円
・770万円以上1000万円未満…収入金額の合計額-×0.95-145万5000円
・1000万円以上…収入金額の合計額-195万5000円

例えば公的年金等の収入金額が年間300万円だとする場合、上記の速算表を確認すると、一律110万円の控除が認められています。つまり、年間所得は190万円となり、医療費控除の目安となる「200万円」という金額を下回ります。そのため、190万円の5%相当額(9万5000円)が医療費控除の最低限度額となります。
 

まとめ

今回は、医療費控除と年金生活者の最低限度額について解説しました。現役世代の平均年収を基準とすると、一般的にいわれているように、「年間10万円」が医療費控除の目安の金額です。
 
一方、年間所得が200万円を下回る場合には「年間所得の5%相当額」になるという点もあわせて覚えておきましょう。特に年金生活者は、公的年金等控除額が適用されるため、年間所得200万円を下回ることも少なくないからです。
 

出典

国税庁 医療費控除を受ける方へ
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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